榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

SNSは凄い威力を発揮するが、危険と隣り合わせ・・・【続・リーダーのための読書論(51)】

【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2015年3月26日号】 続・リーダーのための読書論(51)

トラブル回避術

SNSトラブル回避術――ソーシャルメディアガイドラインの作り方』(富士通エフ・オー・エム株式会社著、FOM出版)には、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サーヴィス)の活用法とトラブル回避法が、個人と企業向けとに分けて要領よくまとめられている。

かなりのページを割いて、個人アカウント、そして公式(企業)アカウントにおいて起こり得る危険のさまざまなケースについて、その経緯と対策がドキュメンタリー・タッチで述べられているので、IT音痴の人にも理解し易い。

個人向けのアドヴァイス

SNSは上手に使用すれば凄い威力を発揮するが、その長所は危険と隣り合わせであることを、先ず認識すべきだ。「SNSのリスクについて正しく理解し、そのリスクを回避する手段を知らなければ、年齢も学歴も地位も名誉も関係なく、騒ぎを起こしてしまう」。

炎上の防ぎ方、外部への情報流出の防ぎ方などが示されているが、個人情報の流出防止については、●見知らぬ人からの友達申請には慎重に対応する、●アプリの不用意な利用を避ける、●怪しいメッセージやメールの添付物を開けない、●アカウント名、パスワードの使い回しを避ける――ことを勧めている。

確認されているfacebook上のスパム・アプリとして、●Change your Profile color●マイカレンダー●あなたの名前は何を意味するの?●You Like●Badoo●Friends Photos●My total Facebook profile views●My Calendar-Birthdays●Friend Matrix●Zoosk●Greetings●「僕の友達について」――が挙げられている。

企業向けのアドヴァイス

「いくつかの先進的な企業はSNSを有効に活用し、消費者に対して自社ブランドイメージや、商品の認知度をアップさせることに成功しています。しかし同時に、SNSによって重大な損失を受けている例も枚挙に暇がないほどです。その原因は企業側の運営ミスの場合もありますし、従業員が起こしたトラブルが企業にも影響を与える場合もあります。SNSを活用していくには、これらのリスクと対峙する覚悟が必要です」。

回避するためには、何をすればいいのか。「まず、(SNSの)運用チームのみならず全社員に対してSNSを安全に利用していくための行動基準を示すためのガイドラインを策定することが特に大事です」。本書では、実践的・具体的なガイドライン作成法にとどまらず、先進企業の実例も紹介されている。さらに、「ガイドライン策定と同じくらい重要なことは社員に対する教育です。社員一人ひとりがSNSのリスクについて正しく理解しそのリスクを回避する手段を身につけられるようにしっかりと教育を施すことです」と強調している。