榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

1日1行の「マイニュース」を手帳に書き付けるだけの手帳術とは・・・【MRのための読書論(156)】

【ミクスOnline 2018年12月20日号】 MRのための読書論(156)

振り返り

                        
世に手帳術の本はたくさんあるが、『振り返り手帳術』(伊藤精哉著、新泉社)は、類書とはいささか趣を異にしている。その日の出来事を「マイニュース」として1行に要約して振り返ること、そのことを通じて、最も重要な目標にフォーカスした予定を立てること――を提唱しているからだ。時事通信社の記者としての経験に基づいているので、説得力がある。

マイニュース

「今日はどんな1日だったか」と、寝る前か翌朝に振り返り、10文字前後に要約し、「マイニュース」として手帳に書き付けるだけでいいのだ。しかし、一つだけ条件がある。目標に何も手を付けられなかった、仕事の歯車が噛み合わず、いらいらする1日だった――というような「最悪な日だった」にしても、その中からプラス面を探し出し、「グッドニュース」に転換して書かねばならないというルールである。

プラス面に力点を置いたマイニュースを、毎日、書くメリットは計り知れない。失敗を気づきとして前向きに捉えられるようになったり、ちょっとした嬉しい出来事が心に刻まれたり、他人に対する感謝の気持ちが持てるようになったり・・・。さらに、1日を1行に凝縮することに慣れると、言葉のセンスが自然に磨かれていく。

著者は、振り返りは反省ではなく、内省だとし、内省とは「個人が日々の業務や現場からいったん離れて自分の積んだ経験を『振り返る』ことを指す。過去に起こった出来事の真意を探り、その経験における自分のあり方を見つめ直すことで、今後同じような状況に直面したときによりよく対処するための『知』を見出そうとする方法論」と説明している。計画どおりにできなかったときは、どうすればできるようになるかを前向きに考え、次に生かすようにすればいいのだ。

マイニュースの具体例が挙げられている。「10月1日=満員御礼 講師鮮烈デビュー、2日=やればできる 残業ゼロ、3日=新聞に名前 喜びジワリ、4日=一家団らん くつろぎの休日、5日=奇跡の完走 応援に力、6日=積ん読解消へまず2冊、7日=冷静クレーム対応 自分ほめたい、8日・・・」。仕事に限定せず、公私に亘る自分の生活全般を対象としているのが分かる。

ポジティブ表現への変換例も参考になる。「●愛想が悪い→媚を売らない、●飽きっぽい→好奇心が旺盛、●いい加減→おおらか、●嘘をつかれた→相手の本音がわかった、●往生際が悪い→粘り強い、●頑固だ→意志が固い」といった具合である。

フォーカス

マイニュースを励行することによって、将来の自分にとって最も重要な「1つ」は何であるのかが明確になっていく。すなわち、目標に向かって一歩一歩前進していく体質に変わっていくのだ。

「5年後、10年後、あるいは30年後、自分はどこにいて、何をしているのか、どういう状態になっているのが望ましいのか? ありありと想像してみてください。5年後に『こうなっていてほしい』未来に身を置いたつもりになって、そこに到達する道のりを『振り返る』わけです。魅力的な将来像が『設定』できていれば、プラスの感情に満たされます。ワクワクするビジョン、未来予想図が描けたら、実現に向けて、いつまでに、何を、どう進めていくか段取りを考えます。そのために今何をやればいいのか、とステップを踏んでいくことが目標を達成するうえで大きなカギになります。願望は目に見えないので、書き出すこと自体に意味があります。自分の理想を突き詰めて考え、文字にすると、夢想していた将来が『見える化』されるからです」。

榎戸誠の振り返り術

私も若い時分から数十年に亘り、振り返りを実行してきたが(本書で初めて知ったマイニュースは実行してこなかった)、6つの分野ごとに振り返ることで効果を上げてきた。仕事、学習・教養、趣味、健康、資産、家庭――の6分野である。