榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

今後5年のうちに、ドルと円の価値は30%下落するという予測・・・【情熱的読書人間のないしょ話(917)】

【amazon 『米国が仕掛けるドルの終わり』 カスタマーレビュー 2017年10月21日】 情熱的読書人間のないしょ話(917)

セイタカアワダチソウの先に見える池で、カルガモたちが群れています。秋の深まりを感じます。女房の姿が見えないと思ったら、トーテム・ポールの口に手を差し入れているではありませんか。

閑話休題、『米国が仕掛けるドルの終わり――2019年、日中同時破綻の大波乱』(吉田繁治著、ビジネス社)には、恐ろしいことが書かれています。

本書では、今後5年間の世界の主要通貨の動向予測が行われています。予測は飽くまで予測ですから、このとおりの展開になるかは分かりませんが、過去の分析と解釈だけでなく、数値と論理を根拠にしているだけに、非常に説得力があります。

著者は、このように予測しています。●中国の負債(不良債権)が膨大に積み上がっている→●中国の不動産バブルが崩壊する→●中国が金融危機に直面する→●中国は新たに発行する新人民元と、旧人民元の交換比率を2:1にする(=人民元の価値が半分になる)→●中国が元の金準備制(金本位制)に移行する→●世界はドルと人民元の2通貨併存時代になる→●世界的にドル重要の減少をもたらす→●世界の通貨に対してドルの実効レートが30%下落する(=ドルの価値が30%低下する)→●円もドルに合わせて、実効レートが30%下落する(=円の価値が30%低下する)→●中国の金準備制移行の2~数年後に、米国がドルの切り下げを行う(=さらに、ドルの価値が低下する)。

この予測どおりとしたら、日本はどうなるのでしょうか。「いずれは迎える政府の債務危機に対して、政府・日銀は、備えはしていません。誤った理論のリフレ派に占拠された日銀が、方法を修正しないかぎり、国債を買い続けた戦時内閣のようにフィアットマネー(=政府の信用を裏付けにして流通するお金。円、ドル、人民元など)の有効性の限界を超えても突き進むだけでしょう」。日本ではデフレ脱却が声高に叫ばれていますが、インフレとは、物価、資産価格に対する円の価値下落なのです。

個人にできることはないのでしょうか。「今後、フィアットマネーの有効性の危機に対して、価格が高騰するのは、人々がそれ自体に本源的な信用を寄せる無国籍通貨の金になるでしょう。フィアットマネーは、有効性を無視すれば、いくらでも増やせます。しかし金は政府の意思では増やすことができないからです。今後5年スパンでの、ドル安から円安に続く財政破産で金融資産を減らさないためには、個人的にも金を買っておくべきと思えます」。