榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ヒトから単純な多細胞動物まで、睡眠のことなら何でも分かる本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1141)】

【amazon 『動物はいつから眠るようになったのか?』 カスタマーレビュー 2018年6月8日】 情熱的読書人間のないしょ話(1141)

散策中、ウマノスズクサを見つけました。花弁はなく、ラッパのような形の萼が全体を包んでいます。ジャコウアゲハの幼虫はウマノスズクサを食べて成長し、その毒を体に溜め込むので、鳥に食べられません。絶滅危惧種のノジトラノオの白い花が垂れ下がっています。ヒメヒオウギズイセンが橙色の花を付けています。さまざまな色合いのヤグルマギクが咲き競っています。クジャクサボテンが赤紫色の花を咲かせています。さまざまな色合いのシャーレーポピーが咲き乱れています。因みに、本日の歩数は11,224でした。

閑話休題、『動物はいつから眠るようになったのか?――線虫、ハエからヒトに至る睡眠の進化』(大島靖美著、技術評論社)は、ヒトから単純な多細胞動物に至るまでの動物の睡眠が幅広く考察されています。

ヒトの睡眠について。「平均すると7時間の睡眠が最も長生きに有効であり、5時間未満では急速に死亡のリスクが高くなることが示されました」。「ヒトにとって、活動性、記憶力、判断力などを高い状態に保つことが、大きな意味での睡眠の役割です。レム睡眠については、その間、大脳は活発に活動し、夢を見ることが多いのです。多くの場合、夢は記憶の断片が一見無意味につながったものとされています。このことからレム睡眠中に記憶が整理され、さらに再構成されていると考えられます。・・・もう一方のノンレム睡眠時には、大脳の活動は低下しているので、ノンレム睡眠は大脳の休息と修復の役割があると考えられます」。

哺乳類の睡眠について。「哺乳類の祖先が非常に小型であったことは明らかであり、齧歯類などの現生の小型動物でも回数の多い断片的な睡眠がとられています。これらのことから、霊長目のヒトを含めて、多相睡眠から単相睡眠への進化が、比較的最近、また大きさや食性に関連して起こったということができるように考えられます」。

鳥類の睡眠いついて。「鳥類の眠りの特徴は、睡眠が極めて断片的であること、レム睡眠は一般には少ないものの、キンカチョウなどではかなり多いこと、海上を飛び続けるカモメやアホウドリでは半球睡眠などの飛びながらの眠りがあること、渡り鳥については渡りの時間に睡眠パターンに大きな変化が起こること、などでしょう」。

爬虫類の睡眠について。「脊椎動物の睡眠パターンの中で、哺乳類・鳥類のもの(真睡眠)と魚類の原始睡眠の中間的睡眠であると述べられています」。

両生類の睡眠について。「両生類の睡眠については、全体的に、爬虫類の睡眠よりもさらに哺乳類のものとの違いが大きく、より原始的といえるでしょう」。

魚類の睡眠について。「魚類の眠りは、哺乳類、鳥類の睡眠(真睡眠)とはまったく違います。しかし、行動的な基準では、睡眠あるいは原始睡眠と呼べる状態が確かにあり、これがより高等な動物の睡眠へ発展したと考えられます」。

昆虫の睡眠について。「ショウジョウバエにおいて、休息といわれていた期間が行動学的に眠りと考えられるようになりました。その判断基準は、概日リズムに従う、動かず特有の姿勢をとる、感覚レベルが非常に低下している、妨げられると、その後はっきりと休息が増加する、という4つです」。「ハエと哺乳類の間で睡眠に分子レベルで共通的な機構があることを示」す。

線虫の睡眠について。「線虫は、動物の大きなグループの一つで、分類上は、線形動物門というのがその正式な名前です。この本に登場する動物の中で、最も単純あるいは原始的な多細胞動物です」。「幼虫はそれぞれの脱皮の直前になると体の動きが止まる休止期があることが知られており、これを詳しく調べたことにより、これが睡眠としての性質を示すことが報告されました」。

睡眠の進化について。「哺乳類と遠く離れた動物にも共通的な遺伝子や分子があることは、広く動物界において、それらが関与する睡眠制御の分子機構に共通性があることを示すといえます」。「原始的なレベルであるものの、わずか302個のニューロンしかない線虫にまで眠りの起源をさかのぼることができます。・・・線虫の眠りから類推すると、生命活動の大部分を休止する必要がある時期は、その生物にとっての一種の眠りであると考えることができるかもしれません。そう考えると、睡眠の究極の起源は細胞分裂期またはその直前にあり得る休止期であって、単細胞生物にまで起源がさかのぼる可能性があり、今後研究する価値があると筆者は考えています」。