榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

関門港には、たくましく、人情に篤い女沖仲仕たちがいた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1149)】

【amazon 『<写真記録>関門港の女沖仲仕たち』 カスタマーレビュー 2018年6月16日】 情熱的読書人間のないしょ話(1149)

東京・新宿のホテルで開催された研究会に出席し、耐震技術の知識を更新することができました。因みに、本日の歩数は10,069でした。

閑話休題、『<写真記録>関門港の女沖仲仕たち――近代北九州の一風景』(林えいだい著、新評論)は、関門港の女性荷役労働者たちの苛酷な仕事ぶりと人情味溢れる素顔に迫ったモノクロ写真集です。

「福岡県北九州市門司区、関門海峡を望む港に、かつて『女沖仲仕(おんなおきなかし)』『女ごんぞう』と呼ばれる女性の荷役労働者たちがいた。・・・港湾労働の職業意識に徹した誇りと自負、苛酷な作業に耐えるたくましさと開放的な笑顔を、私たちは決して忘れない」。

「通船も本船も、関門海峡の速い潮に大きく揺れる。そのうえ雨でも降れば、ジャコップ(縄梯子)のロープを握る手が滑ってはなはだ危険だ。落ちたら最後、よほど海が穏やかでなければ助けてはもらえない。救助する側も命にかかわるからだ。荷役自体も危険を伴うが、仕事場に向かうところから、彼女たちの命がけの仕事は始まっている」。

「小麦の荷役はアリ地獄と恐れられた。ブルドーザーなどの機械が導入されても、触れるそばから崩れる性質は変えられない。一瞬でも油断すれば大量の小麦に埋まって窒息してしまう」。

「「わしらは、力を売って金を稼いでる』――これが女沖仲仕の心意気だ。そして仕事を続けるには、一にも二にも体力である。もちろん、あらゆる危険を避ける勘や知恵、きつい荷役に耐える気力、要領よく仕事をこなす技能も不可欠で、そのすべてがつながっている。けれどもとにかく、第一はこの体。体を壊しては何もできない。まずはよく食べ、休むときはしっかり休み、健康を保つこと。身がすこやかなら頭もよく回転するし、気力も湧いてくるというものだ」。

「『早く帰らんと、大好きな父ちゃんが待っちょるけネ!』とおどける。いつも冗談を飛ばす彼女の周りには笑いが絶えない」。

「寝役の最中は人を寄せつけない厳しさがあるが、従業前や移動時を含め、それ以外の時は底抜けに明るく、からっとしていて、しかも人情に篤い。『わし』「おれ』『おまえ』で呼び合い、女も男もわけへだてなくつきあう。彼女らにとって人を見る唯一の基準は、仕事に対する自負や熱意。サボる者は男でも女でも容赦しない。そのかわり、まじめに働く仲間が窮地に陥れば、わが身をかえりみず手をさしのべる」。

「汗と埃にまみれて働く女たちの風格と威厳に、男の私は脱帽するしかなかった」。

私の北九州勤務時代には、女沖仲仕が未だ存在していたことを知りました。月に一度は仕事で門司港辺りまで行っていたのに、男でも音を上げるような重労働に耐えて黙々と働く彼女たちの姿を目撃する機会を逸したことが、返す返すも残念です。