榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

珍しい古本をぎっしりと積んだ、神出鬼没の古本屋台の物語・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1264)】

【amazon 『古本屋台』 カスタマーレビュー 2018年10月10日】 情熱的読書人間のないしょ話(1264)

白い花を咲かせたジンジャー・リリーが甘い香りを漂わせています。花が薄橙色のジンジャー・リリーもあります。セイタカアワダチソウが黄色い花をたくさん付けています。セイタカアワダチソウは秋の花粉症の犯人扱いされてきましたが、真犯人はブタクサで、セイタカアワダチソウは濡れ衣を着せられてきたのです。セイタカアワダチソウは昆虫の媒介によって受粉する虫媒花で、風が媒介する風媒花ではありません。ガマの穂が風に揺れています。カキの実が鈴生りです。ネギが青々と育っています。因みに、本日の歩数は10,921でした。

閑話休題、コミックスなのにエッセイのような不思議な本に出会いました。

古本屋台』(久住昌之作、久住卓也画、集英社)は、珍しい古本をぎっしりと積んだ古本屋台の物語です。

屋台を引っ張る年輩の親父がかなりの変わり者で、この屋台はいつ、どこに現れるのかはっきりしないのです。時々、行方不明になる有様です。しかし、この屋台には語り手を初めとする何人かの常連がいます。珍本、奇本が多いだけに古本の値段はそれなりに高いのだが、注文すれば出てくる白波のお湯割りは一杯100円です。ただし、お一人様一杯限り。お代わりを注文する初めての客に対する親父の口癖が、「ダメ、うちは飲み屋じゃねえから」。

親父は自分のことはほとんど語らないが、時には、常連にこんなことを漏らします。「煙草をふかして酒でも少し飲んで、あとは寝転がって好きな本を読んで眠っちまえりゃ、ナンもいらんよ」。

語り手の呟きが、この屋台の魅力を教えてくれます。「一杯しか許されない白波のロックを大事にテイネイにゆっくり飲む。目の前には古本の宝の山。この歳になって覚えた愉しみ」。季節によって、白波はお湯割りになったり、ロックになったりするのです。

そして、驚かされるのが、時折、常連が見つけて喜ぶ掘り出し物の顔ぶれです。『モデルノロヂオ 考現學 復刻版』、『火星年代記』、『タルホと多留保』、『火星魔 冒険科学小説』、『つげ義春作品集』、『太郎神話 岡本太郎という宇宙をめぐって』、『動物詩集』、『背中の志ん生 落語家圓菊 師匠と歩いた二十年』、『クリちゃん』、『どどいつ入門 二十六字詩 古典都々逸から現代どどいつまで』、『ヨーロッパぶらりぶらり』、『漂流』、『日日雑記』など44作品が登場します。

ほのぼのとした絵と会話に癒やされます。白波のお湯割りを飲みながら、愉しみたい一冊です。