榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

全国に僅かに残る、遊廓から転業した転業旅館に泊まってみた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1289)】

【amazon 『遊廓に泊まる』 カスタマーレビュー 2018年11月1日】 情熱的読書人間のないしょ話(1289)

遂に、念願のジョウビタキの雄の撮影に成功しました。ヒッ、ヒッ、カタカタと囀っています。幸せな気分で、かなり離れた別の場所へ移動していたところ、何と、アンテナにジョウビタキの雄が止まっているではありませんか。今日は、嬉しいジョウビタキ記念日になりました。因みに、本日の歩数は10,422でした。

閑話休題、昭和33(1958)年4月、売春防止法が施行され、全国から遊廓が消え、娼妓たちは去り、建物が残りました。60年を経て、ごく僅かが転業旅館として、奇跡的に往時の姿を止めています。

その14カ所の「泊まれる遊廓」を訪ね、泊まった記録写真集が、『遊廓に泊まる』(関根虎洸著、新潮社・とんぼの本)です。

三重県伊勢市の麻吉旅館の「建物は丘陵地の斜面を利用した『懸崖造り』が特徴。低層階の階段から見上げる。渡り廊下越しに麻吉の看板が見える」。「伊勢神宮の外宮と内宮をつなぐ参道には、かつて古市遊廓があった。古市遊廓跡に残る麻吉旅館は往時の情緒をいまに伝えている」。夕暮れ時の提灯に明かりが灯った麻吉旅館は、何とも言えない風情を漂わせています。

青森県八戸市の新むつ旅館の「館内に入り、まず目を引くのは玄関の右側にあるY字階段。天窓から差し込む光が、黒光りした階段を照らす。いまにも遊女たちが下りてくるのではないか、と錯覚させるほどの迫力がある」。Y字階段の最上部に架かっている空中回廊も見物(みもの)です。

青森県黒石市の中村旅館の「玄関から館内に入ると大きな土間があり、朱色の急な階段が目の前に現れる。不自然に低い手摺の付いたそれは階段ではなく、遊女たちが並ぶ『顔見世』の場所だった」。

石川県金沢市の陽月は、ひがし茶屋街にひっそりと佇む宿です。「軒灯が石畳を照らす頃になると抒情的な光景が広がる」。こういう、しっとりとした味わいの宿でのんびりしたくなりました。

京都市上京区の焼肉店の江畑には、遊女の嘆きが聞こえてきそうな「地下牢」(現在は倉庫として使われている)が残されています。「水上務の名作『五番町夕霧楼』の舞台となった五番町遊廓跡地にある焼肉『江畑』は創業40年。80年前の妓楼を改築した店だ」。

ノスタルジックな気分に浸る一方で、遊女、娼妓にならねばならなかった女性たちの気持ちや境遇に思いを馳せてしまいました。