榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

堀田善衞の魅力を再認識することができる一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1318)】

【amazon 『堀田善衞を読む』 カスタマーレビュー 2018年12月2日】 情熱的読書人間のないしょ話(1318)

野鳥観察会に参加し、31種を観察することができました。キジの雄が現れました。2羽の雌も現れましたが、残念ながら雌の写真は撮れませんでした。今シーズン初めて、メジロ、ツグミを見ました。ハシブトガラスが鉄柱に巣を作っています。ヒヨドリ、逆立ち採食するオナガガモの雄、ハシビロガモの雄、コガモの雄、冬羽のカイツブリをカメラに収めました。因みに、本日の歩数は14,456でした。

閑話休題、堀田善衞は私の好きな作家の一人です。その堀田を敬愛する5人が堀田への熱い思いを語っている『堀田善衞を読む――世界を知り抜くための羅針盤』(池澤夏樹・吉岡忍・鹿島茂・大髙保二郎・宮崎駿著、高志の国文学館編、集英社新書)は、堀田ファンにとって見逃すことのできない一冊です。

池澤夏樹は、堀田の理想の人物は独立独歩の人だと述べています。「堀田さん自身が、最後まで自分の生き方を貫いて、スペインに行ったり、また帰ってきたり、あのあたりも融通無碍でした。自分の中の物差しによって自分を運営するという、そういう人に共感したのだろうと思います。それがモンテーニュであり、ゴヤだったのではないか。モンテーニュは、自分の思想を貫いた人。ゴヤだってやっぱり、本当の生き方は王族と付き合いながらも王族に頼らずに、描きたいものを描くという意味で、独立独歩であった。これが堀田さんにとっての理想の人物像だったのだろうと思います」。

鹿島茂は、堀田が青春を送った時代に注目しています。「堀田さんの世代は、おそらく非常に理不尽な軍隊体験を介して、戦争のような理不尽な、外的な暴力が襲ってきた時には日本的な私小説では太刀打ちできないと考えたのでしょう。どんなに強靭な個人主義者のように見えた人でも、たやすく戦争イデオロギーに回収されてしまう。そういうものと何とか対抗できるものはないかと考えたのだと思います。それが、連帯ということになると僕は思います」。

「堀田さんは、『ゴヤ』で方法論を見出して非常にうまくいったので、この方法論で若い時から読んでいたモンテーニュに取り掛かります。モンテーニュを描いた『ミシェル 城館の人』は彼の最大の作品でしょう。・・・モンテーニュは、よく懐疑論者だと言われますが、モンテーニュの懐疑は、デカルトのような発見するための懐疑ではない。考えるために永遠に懐疑を続けていくのです。このモンテーニュの魅力に堀田さんは我が身を重ねたのだと思います」。『ミシェル 城館の人』(堀田善衞著、集英社文庫、全3巻)を読むと、モンテーニュが身近に感じられるようになります。

鹿島も池澤も、初めて堀田作品を手にする若い人に、『若き日の詩人たちの肖像』を勧めています。私も読んでみたくなりました。

宮崎駿は、一番影響を受けた人物として堀田を挙げています。「お前の映画は何に影響されたのかと言われたら、堀田善衞と答えるしかありません。もちろん手塚治虫さんとか、いろいろな人の影響を受けていますが、一番芯になっているものは、やはり堀田善衞なのです。・・・本当に僕にとって堀田さんは、海原に屹立している、輝く尖った巖のような人で、現代の歴史とか、経済情勢の波の上に立って動かない存在なのです。僕らは同じ方向に向かって船を漕いでいるつもりなのですが、いつの間にか右に行ったり、左に行ったり、わけが分からなくなってしまう。そうして自分の位置が分からなくなってしまった時に、ふと見ると堀田さんが、ああ、やっぱり同じ位置に立っていて、ああ自分はこんなに流されていると分かるという座標になるような人だったのです」。宮崎にとって、堀田は羅針盤のような存在だったのです。

巻末に、堀田自身の言葉が゙20収録されています。「十七歳から二十二歳までの読書が君の人生を決定する」。

堀田の魅力を再認識することができて、大満足です。