榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

水道民営化を考えるとき、必読の一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1319)】

【amazon 『日本が売られる』 カスタマーレビュー 2018年12月3日】 情熱的読書人間のないしょ話(1319)

モンシロチョウほどの大きさのウラギンシジミの成虫が葉の裏にぶら下がって越冬しています。裏翅は純白です。表翅は雄と雌とで異なるので、つついてみたが、固く閉じているため雌雄は分かりませんでした。ロウバイの黄色い花が早くも咲き始めています。カッシア(ハナセンナ、アンデスノオトメ)の黄色い花も頑張っています。マメガキが橙色の実を付けています。ゴンズイの赤い実から黒い種が顔を出しています。あちこちで、ハゼノキが紅葉しています。なぜか、黒緑色の紋がある葉もあります。ヌルデ、ニシキギ、ドウダンツツジも紅葉しています。因みに、本日の歩数は10,109でした。

閑話休題、水道民営化を考えるとき、『日本が売られる』(堤未果著、幻冬舎新書)は必読の一冊です。

本書では、日本人の資産――「水が売られる」、「土が売られる」、「タネが売られる」、「ミツバチの命が売られる」、「食の選択肢が売られる」、「牛乳が売られる」、「農地が売られる」、「森が売られる」、「海が売られる」、「築地が売られる」、日本人の未来――「労働者が売られる」、「日本人の仕事が売られる」、「ブラック企業対策が売られる」、「ギャンブルが売られる」、「学校が売られる」、「医療が売られる」、「老後が売られる」、「個人情報が売られる」ことが調査・告発されていますが、とりわけ強い危機感を覚えたのは、「水が売られる」です。

「『民間企業のノウハウを活かし、効率の良い運営と安価な水道料金を!』。耳に心地よいスローガンと共に導入された水道民営化は、どんな現実をもたらしたのか。公営から企業運営になった途端、水は『値段のついた商品』になる。『採算度外視でも国民に安全な水を供給する』ことを目的とする公営水道と違い、運営権を手に入れた民間企業がまず最初にやることは、料金の改定だ。世界の事例を見てみると、民営化後の水道料金は、ボリビアが2年で゙35%、南アフリカが4年で140%、オーストラリアが4年で200%、フランスは24年で265%、イギリスは25年で300%上昇している」。

「なにせ水ビジネスは世銀元副総裁の言うように、石油よりも巨大な金脈、21世紀の超優良投資商品なのだ」。

「2000年から2015年の間に、世界37カ国235都市が、一度民営化した水道事業を再び公営に戻している。主な理由は、①水道料金高騰、②財政の透明性欠如、③公営側が民間企業を監督する難しさ、④劣悪な運営、⑤過度な人員削減によるサービス低下、などだ。民営化推進派はこんな風に言う。『やってみなければ、わからないじゃないか。うまくいかなければ、また国営に戻せばいい』。だが一旦民間に渡したものを取り返すのは、そう簡単ではない。契約打ち切りで予定していた利益が得られなくなる企業側も、黙っていないからだ」。

「だが、そこまで巨額の賠償金を払ってでも水道を公営に戻したいという国は後を絶たず、1990年代から本格化した水の民営化は、その後2005年頃をピークに減り始める。そんな中、世界の流れと逆行し、今になって水道民営化を高らかに叫び出した国が、ここ日本だった」。

「高度成長期に作った日本全国の水道管は、現在約1割が耐用年数を超えている。だが修理しようにも、肝心の都道府県の財政は火の車、人件費もギリギリまで減らし、給水人口5000人以下の自治体では職員が1人か2人、技能者に至ってはなんと『ゼロ』だ。事業の9割は黒字経営だが、人口5万人を切る自治体では赤字になっている。本来国民の命に関わる水道は、憲法第25条の適用で国が責任を取る分野だが、残念ながら我が国の政府にその気はなかった。代わりに打ち出されたのは、世銀や多国間開発銀行、投資家たちが推進する手法、日本の水道を(フランスの大手水処理企業、ヴェオリア・ウォーターといった)企業に売り渡す『民営化』だ」。

「民間企業が運営することで水道料金が上がるリスクや、企業間のコスト削減による水道悪化などの懸念が出され、大阪市の水道民営化法案は市議会で否決された。・・・奈良市も、やはり市議会が承認していない。民営化推進派は腰を上げた。仕方ない、自治体がぶうぶう言うならば、与党が多数を持つ国政から、一つ後押してやるとするか。竹中平蔵氏や麻生太郎副総理の主導で法改正がどんどん進められ、その間マスコミは行儀よく沈黙していた」。

「ウォール街の投資家たちは大満足だった。日本の水道運営権は、巨額の手数料が動く優良投資商品になるだろう。何よりも素晴らしいのは、災害時に水道管が壊れた場合の修復も、国民への水の安定供給も、どちらも運営する企業でなく、自治体が責任を負うことになったことだ。・・・水道だけは『水道事業法』が存在しないのだ。それをいいことに今回の法改正では、その責任は事業者から自治体につけ替えられた。これなら企業は自然災害大国日本で、リスクを負わず、自社の利益だけを追求すればいい」。

「水道を所有したまま運営権だけ企業に売る自治体が増え始めたら、いよいよ次のステップだ。複数の自治体の水道を一つにまとめ、水ビジネスを大規模化する。さらに水道料金に関する部分を、『公正妥当な料金』から『健全な経営のための公正な料金』と書き換えて、企業の利益を保障するための値段設定ができるようにした。これで自治体のつけた料金上限を超えた値上げをしても、企業側は『健全な経営のため』だと言って正当化できるようになる。2018年7月5日、水道民営化を含む『水道法改正案』は、委員会で9時間、本会議ではわずか2日の審議を経て、衆議院本会議で可決された」。

このまま国会で水道法改正案が成立し、公布となれば、いよいよ水道民営化が現実になってしまいます。水道民営化は、水なしでは一日も暮らせない私たち一人ひとりが真剣に考えるべき最重要問題なのです。