榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

スティーブ・ジョブズとは異なる哲学・方法でアップルの業績を伸ばし続けている男、ティム・クック・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1643)】

【amazon 『ティム・クック』 カスタマーレビュー 2019年10月17日】 情熱的読書人間のないしょ話(1643)

あちこちで、白色のホトトギス、紫色のホトトギスが咲いています。ホウキギ(ホウキグサ、コキア)の茎葉が赤く色づいてきました。カキの実が鈴生りです。散策の途中、農家の庭先で、並べられている生の落花生を全部、女房が購入したところ、ミニカボチャを1つ、おまけに付けてくれました。この落花生はオオマサリという品種で、長さが5.0~5.5cmもあります。40分茹でると、非常に美味です。因みに、本日の歩数は10,957でした。

閑話休題、スティーブ・ジョブズが亡くなった時、ティム・クックが後を継いだアップルはどうなってしまうのだろうと懸念を抱いたことを白状します。ところが、それは杞憂だったことが、『ティム・クック――アップルをさらなる高みへと押し上げた天才』(リーアンダー・ケイニー著、堤沙織訳、SBクリエイティブ)で示されています。

本書を読んで明らかになったことが、3つあります。
第1は、ジョブズが生前からクックの仕事ぶりを高く評価していたこと。
第2は、クックはジョブズとは異なる哲学・方法でアップルの業績を伸ばし続けていること。
第3は、クックの下、アップルは未征服の業界――医薬品、健康、フィットネス、自動車、スマートホームなど――に参入する準備を進めていること。

「彼(クック)はコンパックでの仕事に満足していたが、ジョブズとの出会いは新鮮でエキサイティングな将来の展望を彼に与えてくれた」。

「アップルに入社してから4年後の2002年、クックはセールスならびにオペレーションの責任者として、ワールドワイドセールスならびにオペレーション担当副社長という新たな肩書を与えられた。その後の2004年には、ジョブズによってMacintoshのハードウェア部門の責任者に任命され、さらに2005年にはCOOに任命されるという飛躍的な出世を遂げた」。

「ジョブズとクックは何年もの間緊密に協力しながら働いてきたが、二人の立ち振る舞いや気質は非常に異なっており、特にマネジメントに関することになると、その違いは一層際立つものとなった。クックのアプローチ方法はジョブズのそれとは異なるものだったが、きちんと結果につながっていた。スティーブ・ジョブズは、アップルのチップ製造業者が十分な量のチップを期日通りに納品できなかった場合、彼らに面と向かって『お前たちは腰抜けのクソったれだ』と言うような(そして実際に言った)人物だった。また結果を出せなかった人たちに憤慨して怒鳴り散らし、彼らをけなして『クソ野郎』と侮辱するような人物だった。クックの戦術はこれとは著しく異なっていた。彼が声を荒げることはほとんどなかったが、問題の核心に迫ることに執着し、質問を延々と投げかけて人々を疲弊させた。『彼はとても静かなリーダーです』とジョズウィアックは語った。『叫ぶことも怒鳴ることもなく、非常に冷静で落ち着いています。しかしとにかく人を質問攻めにするので、部下たちは問題についてしっかりと把握しておく必要があるのです』。質問をすることで、クックは問題を掘り下げることができ、スタッフに自分がしていることを常に把握し、責任感を感じさせる効果があった。彼らはいつでも説明を求められる状況にあることを理解していた」。

「細部へのこだわりと問題解決の重要性が強調される一方で、クックは自分の部下たちを信頼し、彼らが自ら判断を下すことを奨励している。ウォンによれば、『すべては実現可能だ。もっと努力をしよう、創造的になろう、問題を解決しよう、やればできることをあなたはわかっている・・・。彼はこのように社員たちを鼓舞し、マネージャーたちも常に創造的でいるように私たちを励ましました。あなたならどうやって問題を解決するのか?と』」。

「クックのセクシュアリティ(同性愛者)は、平等と多様性に対する彼の見解に明らかな影響を与えている。アウトサイダーが、また別のアウトサイダーのために戦うことはしばしば見られる光景だ。クックはより争いのない社内文化を築き、そこでは平等と多様性が以前よりも重視されている。2013年11月、彼は『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に、アップルのCEOとして初めての論説を執筆した。『職場における平等は、ビジネスの役に立つ』というタイトルの文章の中で、クックは『人種ヤジェンダー、国籍、性的指向にかかわらず、すべての社員たちが安定を保障され、歓迎される環境を作る』という自身の公約を繰り返し強調した。・・・職場における多様性は――クックの核となる価値観の一つ――は、彼の革新戦略の一部を占めていた。多様な人々から成る職場は、それ自体が良いだけでなく、製品開発プロセスにさまざまな声や体験をもたらし、アップルを革新する手助けになると彼は考えている」。

「ジョブズはユニークなCEOだった。彼のような人物が現れることは、もう二度とないかもしれない。彼は単にCFOであっただけでなく、最高製品責任者――製品に関する重要な決定を下す人物――でもあった。一方でクックが製品の開発に深く関わることはないが、そもそもその必要はない。多くの人は、彼が『製品畑の男』ではないことを理由に失敗すると予想していたが、ホラス・デディウに言わせれば、『むしろそれが良かった』のだという。・・・彼(ジョブズ)の死後も、アップルはユニークで革新的な製品を生み出し続けている。しかし、アップルのような成熟した企業に最も重要なのは、製品ではなくロジスティクス――効率的なサプライチェーンや流通、財務、およびマーケティング――だということだ。そしてクックは、このすべてに対する才能を持っていることを証明してきた」。

本書の表紙になっている、冷静で、意志が強く、厳しい表情のクックから、ところで君はどういう人間なのか、と問われているような気がしました。