気骨のある真のジャーナリスト・鳥越俊太郎の仕事のバックボーン・・・【続・リーダーのための読書論(58)】
真のジャーナリスト
鳥越俊太郎は、時の最高権力者をも恐れず、己の意見を堂々と表明する数少ない真のジャーナリストである。その鳥越が自分の仕事のバックボーンについて語った『君は人生を戦い抜く覚悟ができているか?――鳥越俊太郎 仕事の美学』(鳥越俊太郎著、日本実業出版社)が、面白くないはずがない。
仕事を支えてくれたもの
著者の考え方の根底には、「永遠に生きられるわけはなく、誰しもいつかは必ず死ぬ、そういう意味では悲しい存在です。でも、だからこそおもしろい」という覚悟があるのだ。
●直感を磨けば勝機を掴める。「『直感』がいつも僕を助けてくれた――50年のジャーナリスト生活を振り返って、僕はしみじみそう思います」。
●直感はトライアル&エラーを繰り返すことで磨かれる。「『こうすべきだ』と気づく直感、もしくは『これは何かおかしい』と気づく直感を養うには、経験の蓄積が不可欠です」。
●直感で掴んだ仕事には覚悟を持ってぶつかる。「覚悟して、その仕事に全力でぶつかっていく。受け止める。そうすることで、どんどん仕事の質が磨かれるのだと、僕は思います」。
●一瞬の判断が仕事の成功を左右する。
●失敗から逃げずに潔く向かい合う。
●現場の経験が直感力の制度を上げる。「いまの若い人に言いたいのですが、仕事の大半はうまくいかないものなのです。しかし、うまくいかなかった経験が、じつは非常に貴重で、次の仕事に必ず役立ちます。その積み重ねが直感やひらめきを運んでくれます」。
●直感力はさまざまな力の総合体。「僕が直感力を支えるものとして大事にしてきたのは、人並みはずれた『集中力』と、広くて深い『好奇心』、ほかにも『現場力』や『ものの観方』などがあります。これらの総合が直感として現れるのです」。
●好奇心が仕事の潤滑油になる。「自分が興味の持てないことについて、無理に頑張らなくてもいいのです。生まれてから死ぬまでに一番大切なことは、『自分の性格や資質にあった人生や仕事をどうやって見つけるか』ということです」。
●勝負のしどころを掴まえると仕事が磨かれる。
●自分を貫く価値基準・判断基準を持つ。「僕が大事にしているのは『3つの観』です。すなわち、『人間観』『歴史観』『比較文化観』の3つ」。
●現場に行くことで本質が見えてくる。
●流れに乗る。運命の女神は自分の直感を信じて掴まえる。
●率直な好奇心と愚直な使命感を常に持つ。
●逆境の時こそ現場で仕事と向かい合う。「もしいま焦っているとしたら、いまは牙を研ぐ時期、現場で腕を磨く時期だと自分に言い聞かせ、まっすぐに仕事に打ち込んでみてください。だんだん結果がついてくるはずです」。
●現場で築いた人間関係が仕事を助ける武器になる。
「たくさんの本を読んで、たくさんの映画を観て、たくさんの友だちとつきあう。楽しいことや悲しいことも、成功や失敗も、どんどん体験する。そのすべてがあなたの血肉となり、あなたの仕事をつくりあげていきます」。私の経験に照らして、全く同感である。
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