新人MR諸君と「白馬の騎士」との不思議な関係・・・【MRのための読書論(4)】
新人MRの分岐点
19年前に出会った 『仕事術』(黒川康正著、ごま書房。出版元品切れ)という本は、私にとって掛け替えのない仕事術のバイブルである。
新人MR時代に優れた仕事術の本に出会えるか否かは、一流MRを目指そうとする時、重要な意味を持ってくる。
一流MRのイキイキ・ワクワク仕事術10カ条
この『仕事術』の中から、新人MRがぜひ身に付けるべき10カ条を、私の独断で選び出して、ご紹介しよう。
第1条は「まず、すべきことを箇条書きにリストし、それを重要な順に並べ替え、その順番に従って処理していく」。朝、その日にすべきことを思いつくままに箇条書きにする→優先順位に従って番号を振る→番号順に並べ替える→上から順に処理していく→処理したものを斜線で塗りつぶす。斜線で塗りつぶされたものが増えていくにつれ、じわーっと快感が湧き上がってくるだろう。
第2条は「20対80のパレートの法則を応用して、仕事に使先順位をつけ、重要な20%の部分を優先的、集中的にこなしていく」。たとえ、やり残しがあっても、それは優先順位の低いものだから、心配は要らない。
第3条は「『そんなことはできっこない』と考えずに、仕事前に『できる!』と自分流の自己暗示をかける」。できっこないと考えた瞬間に、一切の可能性が消えてしまう。できると自分を信じて解決の道を模索していると、ある日、突然、「白馬の騎士」のパカパカパカという蹄の昔が聞こえてくる。おお、近づいてくる白馬の騎士の手には、今まで思いもつかなかったベストの解決策が記されたメモが握られているではないか。私が、これまで白馬の騎士の助けで危機を脱したことは数知れない。
第4条は「複雑な仕事は、全体を幹から枝、さらにその小枝へと分解する系統樹を描いて整理すると、どこから手を付けたらいいのかが一目で分かる」。実現すべき目標を幹、解決すべき課題を枝、いつまでに何を実行すべきかのアクション・プランを小枝に擬した樹木の図を描くと、一目瞭然となるから不思議だ。
第5条は「自分の処理できる範囲に分けて、少しずつ片づけていけばいいと、細分化して考えると、大きく見える仕事も楽に処理できる」。これは手に余る大仕事だと気後れしたとき、この方法が威力を発揮する。できる部分から一つずつ片づけていけばいいのだ。
第6条は「なかなか解決できない問題は、紙に書き出してみると、意外と簡単に結論が出る」。頭の中だけで悩んでいると、どうしても堂々巡りになってしまう。ところが、紙に書き出してみると、「自分が何を悩んでいるのか」がはっきりし、「どうすれば解決できるのか」に集中できるというわけだ。
第7条は「仕事の完成図を思い浮かべながら取り組むと、単純作業も楽しくなる」。強力なライヴァルが多く、標的ドクターとなかなか親しくなれないときも、近い将来、そのドクターと気持ちが通い合い、自社の主力製品がガンガン処方されているシーンを思い浮かべれば、単純作業も楽しく思えてくるはずだ。そうなれば、しめたもの、君の夜明けは近いぞ。
第8条は「自分の実績を振り返ってみると、仕事の進め方の問題点が見つかる」。目標を達成できなくても、落ち込む必要はない。なぜ達成できなかったのか問題点をはっきりさせ、目標と実績のギャップを埋める対策を実行すればいい。自分の実力を伸ばす絶好のチャンスだと、前向きに考えよう。
第9条は「従来の方法を疑い、より合理的な、新しい自分なりの方法を求めて、仕事の進め方を変えてみる」。日々のMR活動でも、従来の惰性でやっていることが意外と多い→従来の方法を疑ってみると、思わぬ無駄が見つかる→その無駄を省き、思い切って仕事の進め方を変えてみよう。
第10条は「気になることは、メモしておけば、そのことを一時忘れることができ、頭をもっと大事なことに使える」。気になることをメモして机の奥にしまい込み、ペンディング(保留)にしてしまう→頭がすっきりして、他の課題に集中できる→一方、メモしたことはちゃんと潜在意識として残っているため、予期せぬときに、解決のヒントが得られるという一石二鳥の方法である。ぜひ、お試しあれ。
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