本書のおかげで、読みたい本が6冊見つかりました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2337)】
ジョロウグモの雌(写真1)がオンブバッタを捕らえています。ジョロウグモの雌の上方に、小さな雄(写真2)がいます。オオスズメバチ(写真3)の死骸にアリが群がっています。オシロイバナ(写真4、5)、ノシラン(写真6)、ヤブラン(写真7)、キキョウ(写真8)が咲いています。
閑話休題、書評集『図書館の外は嵐――穂村弘の読書日記』(穂村弘著、文藝春秋)のおかげで、読みたい本が6冊見つかりました。
●短歌集『いらっしゃい』(山川藍著)
●短歌集『猫は踏まずに』(本多真弓著)
「職場や仕事とは、そんなにも人の心身を縛るものなのか。『いらっしゃい』には、そんな職場や仕事の短歌がぎっしり詰まっている。・・・どの歌からも、ぎりぎり感が伝わってくる。・・・いずれも厳しい状況や辛い体験ばかりなのに、もっと読みたくなる。・・・働く女性の短歌つながりで、2017年に刊行された『猫は踏まずに』を再読してみた。・・・猫を踏めば、そこから事件が始まる。会社をさぼって海に行けば、何かが起きるかもしれない。恋に墜ちれば、生活は一変するだろう。その可能性を知りながら、『わたくし』は思う。一昨日も昨日も、そして『けふも会社へまゐります」と。『いらっしゃい』と『猫を踏まずに』の共通点として、なんとも云えないユーモアの感覚があったことに気づく。・・・心に余裕がある、というわけではないだろう。あまりにも厳しい環境下ではユーモアが絶対に必要な装備で、それ無しには生き延びることができないのかもしれない』。
●『つげ義春資料集成』(つげ義春著)
「『そのボロ家に抱きつき頬ずりし』って・・・、と圧倒されながら、つげ義春の魔力の源を垣間見た気がする。買ってよかったなあ。・・・なんという狂おしい執着か。あまりの徹底度に、呆然とする。・・・つげ義春作品の台詞や独白の中には、忘れられないものが幾つもある。読むと意識に焼き付いてしまうのだ。・・・見た者の心の深いところに焼き付く言葉の魔力。その秘密は、『旅年譜』からも感じた異界への狂おしい執着と関わりがあるんじゃないか。二つを繋ぐ回路を知りたいと思う」。
●短歌集『蟲』(鈴鹿俊子著)
「日常を詠いながらも、独特の危うさがあってそこに惹かれる。・・・一巻を通じて女性性に対する意識に特徴がある。・・・『蟲』にはいわゆる秀歌とは別に気になる作品もあった。・・・1909年生まれの鈴鹿俊子は長生きで2006年に逝去。夫(川田順)の死後40年を生きたことになる。晩年の心境がどうだったか、知りたいと思う」。
●ミステリー『中野のお父さん』(北村薫著)
「編集者の娘が日常の中で出会った謎を、その父親が鮮やかに解いてゆく。現実に体験するのは娘の方で、『中野のお父さん』は、彼女から話を聞くだけのいわゆる安楽椅子探偵なのだ。・・・作品の背景には、史実や文学作品など、出会ったすべての中にミステリー的な要素を見出す作者の眼差しがある。・・・史実や文学作品からミステリー要素を抽出して、そこからもう一つの物語世界が生み出される。謎が解かれた後も再読を誘う北村作品の秘密は、その辺りにもありそうだ」。
●私小説『神戸・続神戸』(西東三鬼著)
「アウトサイダーの輝きという点において、この作品は阿佐田哲也の『麻雀放浪記』と並ぶ傑作だと思う。・・・舞台となるのは戦時下の神戸はトーアロードに建つ『ハキダメホテル』だ。『東京の何もかもから脱走』した『私』は、雑多な人種の集まるこの怪しい国際ホテルの住人となる。破天荒なアウトサイダー同士の交流の面白さ、そして奇妙な優しさ。ぼろぼろの魂たちが行き交う世界が裏返しのユートピアに見えてくる」。
早速、これらの6冊を、私の「読むべき本リスト」に加えました。