榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

真犯人の男のDNA型は判明しているのに、栃木県警、宇都宮地検はなぜ再捜査しないのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3846)】

【読書の森 2025年10月3日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3846)

裸眼視力1.2の撮影助手(女房)がルリタテハ(写真1)を見つけました。ツマグロヒョウモンの雄(写真2)、ヒカゲチョウ(写真3)、クロヒカゲ(写真4)、アサマイチモンジ(写真5)、ウラギンシジミの雄(写真6。飛翔中の表面の斑紋で雄と判断)、ツバメシジミ(写真7)、チャバネセセリ(写真8)、チュウゴクアミガサハゴロモ(写真9)、アオバハゴロモの幼虫(写真10)をカメラに収めました。

閑話休題、『冤罪 足利事件――「らせんの真実」を追った四〇〇日』(下野新聞社編集局編、下野新聞社)を読みながら、何度も怒りが込み上げてきました。

怒りの第1は、今ものうのうと暮らしている真犯人に対する怒りです。

怒りの第2は、菅家利和さんを犯人にでっち上げた冤罪事件の張本人・栃木県警、宇都宮地検、宇都宮地裁に対する怒りです。無実にも拘らず、菅家さんは17年半も獄中で苦しんだのです。

怒りの第3は、真犯人のDNA型は判明しているのに、栃木県警、宇都宮地検はなぜ再捜査しないのかという怒りです。

「警察や検察は無実の私の17年半を奪い、自分たちのミスで真犯人を取り逃がしておいて、今度は時効だと言って捜査もしない。真実ちゃんの両親も、絶対に許さないと思う」という再審無罪になった菅家さんの怒りの言葉に、反論できるのか!

そして、誠に残念なのは、冤罪であることに気づくチャンスが何度かありながら、メディアがそれを生かせなかったことです。

栃木県足利市で発生した3件の女児殺害事件――1979年8月の福島万弥ちゃん(5歳)事件、1984年11月の長谷部有美ちゃん(5歳)事件、1990年5月の松田真実ちゃん(4歳)事件――と、隣接する群馬県太田市で発生した2件の女児殺害事件――1987年9月の大沢朋子ちゃん(8歳)事件、1996年7月の横山ゆかりちゃん(4歳)事件――は、同一犯による連続殺害事件と疑われているが、現在に至るまで未解決です。

なぜ、DNA型鑑定は間違ったのか。虚偽自白はどのようにつくり出されたのか。日本の刑事司法システムは、どうして冤罪を繰り返すのか。真実を追究するメディアのあるべき姿とは――これらの問題を考える材料を本書が与えてくれます。地元の下野新聞社の責任感に敬意を表します。