人生は自分で創り上げる一冊の小説だ・・・【あなたの人生が最高に輝く時(69)】
波瀾万丈
『すべての女は、自由である。』(経沢香保子著、ダイヤモンド社)は、説得力がある。著者・経沢香保子の、桜蔭中学・高校、一浪、慶大経済学部を経て、リクルート、楽天で活躍、26歳で創業したトレンダーズを2012年にマザーズに上場させ最年少上場企業女性社長、同社を追われ、新たに設立したカラーズの社長という華やかな経歴が説得力の源であるのは間違いない。一方、私生活では、2度の離婚、3度の出産、4歳で長女が死亡という経験。これらを乗り越えてきた過程が説得力を強めている。彼女の43年間の人生は、文字どおり波瀾万丈である。
著者の、自身の経験を踏まえた女性読者へのアドヴァイスは、男性にとっても刺激となる。そのアドヴァイスを見ていこう。
自分らしさ全開
●やりたいことに素直になろう。未来を変えるのは自分の行動だけ――人生は未来に向かって広がっていくもの。今日からやってみたいことを全部やって自分らしさ全開の人生をもう一度スタートしよう。なりたい自分、理想の人生、もともとあったイメージを行動によって具体化すればいいんだ。挫折から立ち直るのも、未来を変えるのもすべて、他でもない自分にしかできないことなのだから。私の人生経験上、絶対に正しいと思うのは、「好きなことに全力で取り組めば成果は必ず出る」ということだ。
●本心を犠牲にしない。最優先すべきは自分が本当にやりたいこと。
他人を気にしない
●もう、他人の目を気にするのはやめよう――他人はあなたの一度きりの人生に責任なんて取らない。自分の人生の責任を負うのは自分しかいないのだ。自分自身と向き合い、孤独な時間に考えを深めていこう。それは現実と格闘する有意義な時間になる。自分で決断したことを実行に移していく――自分らしい人生は、この積み重ねでしか創れない。ひとりきりの時間を大切に使いながら、個性やオリジナリティを磨くことが大事なのだ。
嫌なことは栄養
●モヤモヤとストレスは成長のヒント。書き出すだけで好循環が生まれる――とにかく、まずは書き出すことだ。いらない紙にモヤモヤした感情を書き殴り、破り捨てるのも賢明な方法だと思う。ただ、私は「ブログに書いて人に伝えること」を推奨したい。
●嫌なことは栄養。乗り越えるだけ人生が磨かれていく――人生はできるだけ早いときに失敗した方がいいと気づく。経験から学ぶことは濃くて大きくて痛いから体に刻み込まれる。事件が起きる前の人生より、起きた後の人生の方が圧倒的に長ければ、「学び」という誰にも奪われない財産ができるのだ。たとえ嫌なこと、つらいことがあっても「次こそはうまくいく」。そんな状態にもっていけるなら、人生で大きな拾い物をしたことになる。苦しいときこそ成長のチャンスで、絶望のときこそ光を見つけることができる。そもそも人には2種類のタイプがある。年齢を重ねるほど素敵に輝く人と、逆に老けてしまう人だ。生きている限り、必ず嫌なことは起きる。前者は嫌なことを糧にして、飲み込んで、強くなり、器が広がり、そうやって遂に栄養にまでして、消化吸収してしまうから澄み渡り、人生をますます謳歌して、より輝きを増す。後者はトラブルを乗り越える免疫や体力がないため、嫌なことを消化できないまま、心に澱を溜め込み、澱がたまるから、輝けなくなってしまう。どうにもならない過去にこだわるよりも、ゼロからの方が、早く、美しく、より魅力的なものが再構築できる。
失敗は財産
●失敗から立ち直るプロセスこそ、人生の財産になる――大きな失敗をして人生を立て直そうとする過程で、人は本当に大事なものに気づく。一見必要そうだけど、目を曇らせていた無駄なアイテムをすべて削ぎ落とす絶好の機会となり、自分が一番大切にすべき人、自分が一番大切にすべき価値観、そして、人生で一番大切な自分が生きるべき道を見つけ、歩いていけるようになる。そう、失敗したときの行動次第で人は輝きを増す。そして、失敗経験は自らの学びとなるだけでなく、同じ困難にぶつかる人の役にも立つ。なんらかのトラブルに巻き込まれたとき、失敗をしたとき、自分になにが足りなかったためにそうなったのか、なにが原因だったのかを見つめ直す作業は欠かせない。
「自分が脚本家となって、自分を主人公とした人生という舞台を演出しよう。人生は自分で創り上げる一冊の小説であり、最高の作品なのだ」という著者の言葉が身に沁みる一冊である。