世界中の企業を畏怖させているアマゾンの問題解決法に学ぼう・・・【MRのための読書論(163)】
アマゾン
あなたがアマゾンを利用していようと、していなかろうと、それは関係ない。世界中のあらゆる業種の企業から畏怖されているということは、アマゾンが隔絶した実力を備えた企業ということを証明している。そういうアマゾンがやっていることを学ぼうとするとき、『アマゾンのすごい問題解決』(佐藤将之著、宝島社)が役に立つ。
問題解決
●成長し続けるためには、本質的な問題解決が必要。「アマゾンには『Thinking Backward』(逆算して考える)という考え方が根づいています。『最終的なゴールはどこか? そのために今やらなければいけないことは何か?』という視点で常に問題に向き合っていきます。・・・(15年間をアマゾンの社員として過ごしてきた)私が、アマゾンを離れてみてあらためて感じる凄み。それは、『アマゾンはブレない』ということです」。
顧客第一
●理念や目的は明らかになっているか。「取り上げられているのは『Customer Experience(カスタマー・エクスペリエンス)=得したという感情だけでなく、ハッピーだ、楽しいと思える顧客体験ができる』と『Selection(セレクション)=品揃え(配送や支払い方法などの選択肢が豊富であることも含む)』という2つの言葉です。アマゾンの社員は、『地球上で最もお客様を大切にする企業であること』、そして『地球上で最も豊富な品揃えであること』を実現するために仕事をしています」。
●お客様視点で周囲を説得しながら小さく始め、成功を積み上げていく。「①客観的なデータを収集する→②小さく始める→③撤退のボーダーラインを決め、共有する→③『お客様のために』を連呼する」。
●ライバルは現状を知るために活用。「顧客満足度の向上」に意識を集中する。「①お客様をどんなふうに喜ばせることが自分たちのミッションなのかを再確認する→②そのミッションに基づいて、お客様の声に耳を澄ます→③ライバルは、自分たちの現状レベルを知るベンチマークとする」。
●社員の価値観の違いにどう対応するか。「価値観の違いを埋めるのではなく、『お客様のために』で一つにまとまる」。
責任範囲
●責任範囲は明確になっているか。「『目標と責任範囲は明確に決まっている。けれども、どう達成するかは各人で考えてほしい』というスタイルです。だから、人が育つのです」。
●全業務内容を「見える化」し、再配分し、フォローのしかたを決めておく。「①各人の行っている業務内容を把握する→②業務内容を再配分する→③誰がどのようにフォローするかを決めておく」。
●業務内容を把握し、再配分し、今まで時間をかけていたものをやめてみる。「『それは本当に必要なのか?』と疑ってみる→なくしても困らないのなら、思い切ってやめてみる」。
文書と会議
●ビジネス文書と会議のあり方。「ビジネス文書のほとんどは『1ページャー(=A4判で1ページ)』で作成し、年次予算やプロジェクトは『6ページャーズ』で作成します(グラフや表などは別添とし、枚数にカウントしません)。また、アマゾンの会議冒頭の何分間かは、出席者が全員沈黙して1ページャーあるいは6ページャーズの資料を読んでいます」。
上司
●部下を育てるのではなく、部下が育っていく環境を作る。「①仕事の最終ゴールと期日を伝えよう→②権限委譲をしよう→③階段を『見える化』しよう」。
●共通のものさし(=数値目標)を設定し、全員で共有する。「①目標と締め切りを数字で共有する→②情報にヒエラルキーを持たせない→③目標と現状のギャップを埋める解決案を一緒に考える」。
●あくまでも主役は部下。上司自身の価値観や成功体験が主役ではない。「管理指標を作る人間は、良い練習を課す名コーチと同じです。選手(社員)に『全力で走ればギリギリ手の届く位置にゴールフラッグを立て、取らせる』わけです」。
●「教える」と「一緒に解決する」。両方を活用し、自分を超える人材を育てる。「①基本スキルは具体的に『教える』→②部下が自律的なら『聞き、一緒に考え、不足リソースを調達する』→③部下が自分より優秀になることを『怖れない』」。
●上司は部下を「ダメだ」と判断・非難する役割ではない。「『情報にヒエラルキー(階層)を持たせない』という考え方をします。会社の株価に重要な影響を与える事実など特定の情報以外のもの、つまり業務を遂行していく上での情報は、メーリングリストを使って関係者すべてに伝えていくようにしています。・・・上司は部下の成功を全力でサポートする役割を担っていて、決して『君はダメだ』と判断・非難する役割ではないのです」。
●「部下への非金銭的報酬の供与」が不足していないか。「自分の部下の業績を周囲に広く知ってもらう行動を取る」。「部下に素晴らしいチャンスが回ってくるよう、業績を広く周囲に伝えておく」。
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