孔明の勧める蜀獲得に、遂に、劉備が踏み出す・・・【山椒読書論(587)】
【読書クラブ 本好きですか? 2021年8月30日号】
山椒読書論(587)
横山光輝のコミックス『三国志』(横山光輝著、潮出版社、希望コミックス・カジュアルワイド、全25巻)は、羅貫中の小説『三国志演義』→吉川英治の小説『三国志』の流れを汲んでいる。
「第14巻 落鳳坡の衝撃」――。曹操の離間策が功を奏し、西涼の馬超は惨敗を喫する。「曹軍、西涼軍を破るの報は、たちまち各地に伝わった」。
「蜀! 諸葛孔明が(劉備)玄徳に建国の地としてすすめている所である。・・・4つの河が流れ、土地をうるおし、天産豊かな国であった。・・・だが、この地方の交通の不便さは言語に絶する。・・・蜀が今まで外敵に襲われなかったのは、この自然の大要塞があったからである。孔明が早くからこの土地に目をつけていたのは当然のことといえるだろう」。
漢中の張魯の侵略を恐れる蜀の劉璋は信望がなく、重臣たちは荊州の劉備に助けを求めるか否かで二分される。
「玄徳が蜀に向かったのは建安16年冬のことであった」。
蜀を奪おうとする劉備の本心を知った劉璋は、遂に劉備討伐に立ち上がる。この戦いで、劉備の副軍師・龐統が戦死する。「赤壁の大戦には連環の策を進言し、曹軍を大敗させ、今、玄徳のもとで大きくはばたこうとしていながら、その才能を発揮することなく、この世を去った。この時、龐統は36歳であった」。
敵に囲まれ窮地に陥った劉備は、荊州で留守を預かっている孔明に助けを求める。これを受けて、荊州軍は蜀に向かう。