宝物 言わず語らず 側に居る・・・【山椒読書論(824)】
【読書クラブ 本好きですか? 2024年11月10日号】
山椒読書論(824)
『シルバー川柳 人生に金メダル編――笑いあり、しみじみあり』(みやぎシルバーネット・河出書房新社編集部編、河出書房新社)を読んでいると、年を重ねるのもそう悪くはないねと思えてくるから不思議です。
●梅干と 干柿集う 老人会
●同じ事 初めてのように 語る君
●診察券 束ね揃えて 生きてやる
●満期金 もらえる年齢 百六歳
●婆(ばば)五人 ポックリ寺へ 初詣
●禿割が あったらいいな 床屋さん
●家売って ホームへひらり 粋な人
●土地・家屋 処分しあとは 爺(あんた)だけ
●頻尿と 便秘に悩む 二刀流
●「まあ一杯」 盆栽に注(つ)ぐ 爺(じい)の水
●個性派と 名乗っているが 頑固じい
●宝物 言わず語らず 側(そば)に居(お)る
●エコロジー わしゃ動けずに 寝コロ爺(じい)
●嫁は言う 死ぬまで元気で 居てください
●この階段 お棺通るか 心配だ
●あの人も 暇なのか また通り道
●ライバル同士 彼女他界で 仲直り
●老いたとは 百になって いう言葉
●読み聞かせ 読んだ自分が 涙ぐむ
●薬どこ? 朝の脳トレ スタートよ
●生活苦 趣味も皮肉な 暮らしっ苦
●金貯めて 使うころは 寝たっきり
●ピサの斜塔 今じゃ私が 斜塔ぎみ
●空気読め 互いに思う ジジとババ
●友と会う またねと言えない 年になり
●あらだあれ 先生よりも ふけ顔で
●ダメですか 高貴香麗者 この字好き
●墓参り 自分の席を 確かめる
●棺桶の 寝心地試す 内覧会
●友はみな 天国めざして 旅に出る