榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

反戦平和を心より願った手塚治虫の思いが籠もった作品集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1236)】

【amazon 『手塚マンガで憲法九条を読む』 カスタマーレビュー 2018年9月11日】 情熱的読書人間のないしょ話(1236)

天童よしみコンサートで、演歌の世界に首までどっぷり浸かりました。散策中に、アカボシゴマダラ、ツマグロヒョウモンの雌、モンキチョウ、アオハナムグリ、ショウリョウバッタ、オンブバッタを見つけました。オンブバッタは、小さな雄が大きな雌の背中に乗っています。我が家の庭で、今季初めて、カネタタキの鳴き声を耳にしました。庭の片隅で、小さなバラが咲き始めました。因みに、本日の歩数は11,349でした。

閑話休題、『手塚マンガで憲法九条を読む』(手塚治虫著、小森陽一解説、子どもの未来社)には、心の底から戦争を憎んだ手塚治虫のマンガ7篇が収められています。

「(19)45年3月、大阪帝国大学附属医学専門部を受験して合格するが、入学するのは7月まで待たねばならなかった。そのころ旧制中学ではほとんど授業が行われず、勤労動員先の大阪石綿にいた手塚は、米軍編隊の攻撃による悲惨な状況を目の当たりにする」。

「この悪夢のような光景が、手塚の脳裏に深く刻み込まれ、後のマンガ作品の中に様々に描き込まれることになるのだ」。「思春期の陰惨で強烈な戦争体験は、その後の手塚の作品に拭い難い痕跡を残す」。

「敗戦の報を聞いた時、手塚は『これで、自由にマンガが描ける』と思ったという。戦後憲法(=日本国憲法)で保障された表現の自由を、まさに謳歌しながら手塚は戦後のマンガに全精力を注いだのだ。ところが『それがいつの間にか風化し形骸化して、またもや政府がきな臭い方向に向かおうとしている。子どもたちのために、当然大人がそれを阻止しなければならないと同時に、子ども自身がそれを拒否するような人間にはぐくんでやらなければならないと思うんです』、『生命あるものすべてを戦争の破壊と悲惨から守るのだという信念を子どもにうえつける教育、そして子ども文化はその上に成り立つものでなければならない』と手塚が述べたのは。1986年の第31回子どもを守る文化会議であった」。現在の日本の、戦前回帰を目指す政権と、それを阻止しようとせず傍観している国民を見たら、手塚は何と言うでしょう。

「ああ、よかった。今生きているうれしさを何かの形にしたい」。反戦平和を心より願った手塚の思いが籠もった作品集です。