榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

日露戦争の旅順攻囲戦を指揮した乃木希典は愚将か、それとも名将か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3584)】

【読書の森 2925年1月26日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3584)

6m先の湿地に出現したヒクイナ(写真1)の尻しか撮影できなかった己の技術の未熟さに切歯扼腕。ルリビタキの雌(写真2~4)、モズの雄(写真5、6)、カイツブリ(写真7、8)、ヒドリガモの雄と雌(写真9)、アオサギ(写真10)をカメラに収めました。サザンカ(写真11)、ウメ(写真12)が咲いています。因みに、本日の歩数は11,414でした。

閑話休題、『二〇三高地――旅順攻囲戦と乃木希典の決断』(長南政義著、角川新書)は、日露戦争における熾烈な旅順攻囲戦を指揮した第三軍司令官・乃木希典(まれすけ)は愚将か、それとも名将かという問題に真っ正面から取り組んでいます。

乃木愚将論は、谷寿夫の講義録『機密日露戦史』と、同書に準拠した司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』に代表されます。

これに対し、本書の著者は、一次・二次史料を駆使して乃木名将論を展開しています。「確かに、乃木の作戦には判断ミスや失敗が存在した」が、「乃木は損害を出しつつも戦訓に学び、戦場の新しい現実に臨機応変に対処して旅順を陥落させている。こうした、柔軟な対応力・思考力は、高く評価されて然るべきである」。

親友・乃木の窮状を救った児玉源太郎も高く評価されています。「旅順における児玉の的確な作戦指導、迅速な決断および即決的措置が、二〇三高地陥落を早く実現させたことは確実だ」。

乃木は愚将か名将かを判断するのは、難しい問題だと再認識しました。