榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

世の中に人の来るこそうるさけれ とは云うもののお前ではなし・・・【ことばのオアシス(番外扁その2)】

【amazon 『まあだかい』 カスタマーレビュー 2013年8月5日】 ことばのオアシス(番外扁その2)

世の中に人の来るこそうるさけれ
とは云うもののお前ではなし
世の中に人が来るこそうれしけれ
とは云うもののお前ではなし

――内田百閒

内田百閒(ひゃっけん)の狂歌。第一首は蜀山人(大田南畝)の狂歌で、第二首は百閒が第一首をもじったものである。百閒の家には来客が多いため、「玄関口の柱にこの歌を貼りつけておいた。本当に人が来るのがうるさい」と『まあだかい』(ちくま文庫)の中で述べているが、いかにも臍曲がりなくせに寂しがり屋の百閒らしい。因みに、「まあだかい」という書名は、百閒の教え子たちが百閒の還暦の翌年から十数年に亘り続けた誕生日会「摩阿陀会」に由来している。