榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

心の底がぽっと温かくなるイラストレーション集・・・【山椒読書論(277)】

【amazon 『画廊の隅から』 カスタマーレビュー 2013年9月12日】 山椒読書論(277)

心の底がぽっと温かくなる本に出会った。

画廊の隅から――東日本大震災チャリティ・イラストレーション作品集』(和田誠著、講談社)は、あのメルヘンのような画風で知られるイラストレイター・和田誠が、東日本大震災の被災地のために、毎週10枚ずつ50週に亘って描き続けた500枚の葉書サイズのイラストレーションが収められている。

「あとがき」で著者が、こう語っている。「(2011年3月11日の)次の日は、トラックに食料や毛布を積んで被災地に向かう人がいるというニュースを聴きました。でもぼくは車も免許も持ってない。そんな自分に何ができるんだろう、と思いました。ずいぶん考えて、結局俺には絵を描くことしかできることはないんだ、と気がついたんです」。

どの絵も素敵だが、●小田島雄志著『シェイクスピア名言集』のカヴァー、●亥年のアムネスティ年賀状、●丸谷才一著『男のポケット』のカヴァー、●青木雨彦著『女はいつもミステリー』のカヴァー、●「和田誠肖像画展」のポスター――が特に印象に残った。