榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

古代ローマの女性たちの境遇の変化を追跡した著作・・・【情熱的読書人間のないしょ話(505)】

【amazon 『古代ローマの女性たち』 カスタマーレビュー 2016年8月28日】 情熱的読書人間のないしょ話(505)

利根運河シアターナイト2016「夢境」の運河は、イルミネーションで彩られています。運河の畔の東京理科大の学生が制作した提灯は、未だ蛍光灯で頑張っている我が家にとって、初のLED製品です(笑)。夏の夜のローカル線の駅は静寂に包まれています。因みに、本日の歩数は10,759でした。

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閑話休題、古代ローマの女性たちは、男性と平等で、自由を謳歌していたのだろうと思っていたが、そう単純なものではなかったことを、『古代ローマの女性たち』(ギイ・アシャール著、西村昌洋訳、白水社・文庫クセジュ)が教えてくれました。

本書では、王政から共和政中期まで、共和政末期、帝政期に分けて、ローマ人女性の境遇の変化が考察されています。

金持ち、平民、遊女、奴隷、解放奴隷などさまざまな階層の女性たちが存在したが、「この多様性にもかかわらず、全体的に見てローマ人の女はある程度まで解放されたのは確かだといってよいことが見て取れた。従順な婦人から権力に肉薄した皇后まで、ずいぶん長い道のりを走り続けてきたものである。従属からある程度の自立へ、また地味な素っ気なさから優美な魅力へ、義務としての結婚から愛の情熱や時には憎悪へ、本当に大きく変化した」。

しかしながら、「この変化は2世紀間しか持続しなかったことを強調する必要がある。変化が最も顕著だったときですら、女たちはありとあらゆる義務に縛られたままだったし、影響力を振るうにも独力でそうするのと同程度に男を介してそうしていた。そうした束縛を彼女らが克服したとしても、それは部分的で一時的なものにすぎなかった」のです。