榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ダーウィン進化論を否定する今西進化論・・・【山椒読書論(479)】

【amazon 『進化とはなにか』 カスタマーレビュー 2014年8月19日】 山椒読書論(479)

書棚を整理していたら、『進化とはなにか』(今西錦司著、講談社学術文庫)が目に留まり、懐かしさが込み上げてきて、到頭、最後まで読み通してしまった。

今西進化論は、「棲み分け」と「種社会」を中心概念とする独創的な進化論であり、個体レヴェルの自然淘汰が種の進化をもたらすというダーウィン進化論の基本的な原理を否定している。あくまで種が進化の基本単位だというのである。例えば鳥の翼であるが、ダーウィン流に言えば、ある環境下では爬虫類の中で肢が翼のようなものに変わっていった個体は生き残るチャンスが大きいため、その子孫が増えていき、そのうち全部の個体が鳥になってしまったということになる。一方、今西は、爬虫類のある種はどの個体も一斉に肢が翼に変わってきたので、空を飛ぶことになったというのである。個体レヴェルでは多少の前後があっても、長い目で見れば種の全個体がある定まった方向へ変化していくというのだ。

しかしながら、その定向進化の個体レヴェル、さらには遺伝子レヴェルのミクロなメカニズムまでは、今西進化論も明らかにしていない。

それにしても、進化論には、いつもワクワクさせられるなあ。