『カンブリア宮殿』のエッセンスが凝縮した一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(617)】
東京・六本木のグランド ハイアット 東京の一角に、雪の白樺林が出現しています。大型書店の一角で、少年が本を読み耽っています。因みに、本日の歩数は10,753でした。
閑話休題、私はテレビ東京の『カンブリア宮殿』というトーク番組が好きで、毎週、見逃さないようにしています。毎回、登場するゲストの苦労に満ちた過去と、それを乗り越えて成功に至った過程の対比が鮮やかに示されます。最後に、「収録を終えて、村上龍はこんなことを考えた」というナレーションを受けて始まる村上龍の「編集後記」が、これぞ文章の精髄だと唸らせる素晴らしさなのです。
『スゴい社長の金言――カンブリア宮殿 村上龍×経済人』(村上龍著、テレビ東京報道局編、日本経済新聞出版社)には、『カンブリア宮殿』のゲストとして招かれた51人の言葉が収録されています。
アマゾンCEOのジェフ・ベゾスの話には、全てのビジネスに共通する成功の法則が示されています。「『顧客中心のポリシー』というのは、まずお客様が何を要求しているのかを把握することだと考えます。そして、それをどのように提供するかを考えなければなりません。これをわれわれは『逆回りに働く』と言っています。できることを考えて、それをお客様に売ろうとするのではなく、まずお客様が何を求めているのかを把握し、それに対して何ができるかを考えるわけです。多くの会社は逆を考えます。自分たちのスキルを利用して前進します。私たちに分かったのは、お客様が求めているのは、商品を選べること、低価格、さらに早くて正確で便利な配送だということです。ですからこの18年間、我々は毎年この3つを改善してきました。製品の選択肢を増やし、効率をよくして低価格を実現し、配送のスピードアップをはかって商品を素早く確実に届けられるようになりました」。
良品計画会長の松井忠三は、基本と応用の関係について喝破しています。「やはり基本があって、そして応用がある。スポーツの世界も全部そうですが、基本をより徹底をしていかないと、応用もできないんですね」。
ダイキン工業取締役会長兼ブローバルグループ代表の井上礼之は、戦略と実行力について語っています。「これだけパラダイムシフトして、経済社会が急速に変化するときに、戦略に時間をかけていたら、できあがった戦略は現実からもう遅れてしまう、ということなんです。ですから、だいたいの方向性が出たらもう、すぐに実行に入る。そして実行の現場の波打ち際で、トップも入り込んで戦略を柔軟に変更していくということをしないと、もう間に合わないのです。当社の場合は、一流の戦略と二流の実行力と、一流の実行力と二流の戦略だったら、一流の実行力と二流の戦略を重んじるということでやっています」。
北海道・夕張市市長の鈴木直道は、危機を肌で感じることのメリットを指摘しています。「小さい町ほど危機感を肌で感じて、何かを成そうとするところがあります」。
とくし丸社長の住友達也は、息遣いを感じる人の繋がりの大切さを強調しています。「これからの時代、血の通った息遣いを感じる人と人とのネットワークというのが、都会でもすごく重要になってくるんじゃないでしょうか」。