榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

魅力的な人が通り過ぎると、思わず目を奪われてしまうのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1701)】

【amazon 『美しさと魅力の心理』 カスタマーレビュー 2019年12月12日】 情熱的読書人間のないしょ話(1701)

東京・台東の上野動物園で、時間の経つのを忘れてしまいました。欠伸(あくび)をするハシビロコウ、ネズミを食らうオオコノハズク、戸惑うペリカン、眠りを貪るハダカデバネズミ、あるまじきスピードで動き回るマタコミツオビアルマジロ、自分の夢を食うアメリカバク、子供をあやすニシローランドゴリラ、食欲モリモリのコビトカバ、定位置でポーズを取るマヌルネコ、水浴びするクマタカ、短パンをはいたヘビクイワシ、お澄まし顔のオカピ、けたたましく笑うワライカワセミ、名ばかりのオシドリ夫婦――をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は13,119でした。

閑話休題、『美しさと魅力の心理』(三浦佳世・河原純一郎編著、ミネルヴァ書房)には、なぜ私たちは「美しさ」や「魅力」を感じるのかという問いに迫った、心理学、脳科学などの多彩な80篇の研究成果が収められています。

とりわけ興味深いのは、「美人は一瞬で目を惹く――魅力と注意捕捉」、「魅力を与え印象にも残りやすいメイクとは?」、「美しいとトクをする?」の3篇です。

「たくさんの人が行き交う街のなかで、魅力的な人物を目で追ってしまうという経験は、複数オブジェクト追跡課題を用いて調べられています。・・・魅力的な顔に思わず見とれてしまい、一瞬にして注意を奪われてしまうような体験を調べた研究もあります。・・・ここで1つ疑問として残るのは、注意を引きつける魅力的な顔とはどのような顔かということです。もちろん見た目として美しい顔は注意を引きつけますが、顔魅力はそれだけで決定されるものではありません。その一例として、私たちには、自分の結婚相手や恋人の顔の見た目を現実よりも過大に魅力的であると評価してしまうバイアスがあり、このバイアスは熱愛感情を強く経験する人において顕著に見られるといわれています」。

「私たちは同じ女性に対して、メーキャップアーティストにナチュラルなメイクと濃いメイクを施してもらい、素顔と併せてそれらの顔写真を第三者が見たときの脳波を確認しました。すると、ナチュラルなメイクは濃いメイクや素顔よりも脳波反応のN170が小さいことがわかりました。アンケートではナチュラルメイクは魅力度が最も高く、次に濃いメイクで、一番魅力的でなかったのは素顔でした。これらの結果から、ナチュラルメイクは濃いメイクよりも顔としてスムーズに認知して直感的に魅力的と感じられることがわかりました」。

「(男女752人の大学生が参加した大規模なダンス)パーティー当日、後半の時間に全員にアンケート用紙が配られ、参加者はパートナーについて『どの程度の好意を感じるか』『もう一度デートしたいか』などの質問に回答するよう求められました。結果は、男女とも自身の魅力レベルに関係なく、魅力レベルが高い相手に好意をもち、デートを希望するというものでした。身体的魅力の高い人は、誰からも好かれ、デートに誘われる可能性が高いことがわかったのです」。高校時代に所属していた文芸部の文集に私が最初に載せたエッセイが、「美人は、一生、得をするのか」というタイトルだったことを懐かしく思い出しました。