榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

心に沁みる、伊坂幸太郎の短編『太陽のシール』・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1794)】

【amazon 『短編工場』 カスタマーレビュー 2020年3月13日】 情熱的読書人間のないしょ話(1794)

カタクリが紫色の花を俯き加減に咲かせています。我が家の庭では、リュウキンカが黄色の萼片を、サクラソウが紫色の花、ユキヤナギが白い小さな花を付けています。因みに、本日の歩数は10,868でした。

閑話休題、短編集『短編工場』(集英社文庫編集部編、集英社文庫)に収められている『太陽のシール』(伊坂幸太郎著)は、心に沁みる作品です。

「三十四歳、僕よりも二つ年上の彼女は、僕の決断力のなさをよく知っている」。

「『聞いて驚かないでよ』。昨日、美咲が言ってきたのは、その夕飯を食べていた時だった。大根を噛み、味が沁み込んでいて美味しい、と頬を緩めた後で、まるで鰤を突くついでのように、『何と、妊娠してるんだって』とつづけた」。

「僕」の精子減少症のため子供ができなかった僕たち夫婦は不妊治療を続けてきたのだが、最近はすっかり諦めていたところだったのです。

折も折、世の中は、3年後に小惑星が地球に衝突するという話で大騒ぎの真っ最中。そのため、僕たちは、3歳までしか生きられない子供を産むべきか否か、決断できない日々がだらだらと続きます。

紆余曲折を経て、最後に思わぬ、どんでん返しが待ち受けています。