榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

孫堅の遺児・孫策の躍進、劉備の豫洲太守就任、曹操・劉備・呂布・孫策の偽帝討伐・・・【山椒読書論(577)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年8月12日号】 山椒読書論(577)

横山光輝のコミックス『三国志』(横山光輝著、潮出版社、希望コミックス・カジュアルワイド、全25巻)は、羅貫中の小説『三国志演義』→吉川英治の小説『三国志』の流れを汲んでいる。

第5巻 南陽の攻防戦」――。無念の死を遂げた父・孫堅の跡を継いだものの、袁術(袁紹の弟)の食客となっていた長男・孫策は、弱冠21歳で挙兵します。「こうして江南、江東81州は今や時の人孫策の治めるところとなった。兵は強く、土地は肥え、文化は栄えた。孫策は諸将に各地の要害を守らせ、広く賢人を集め、善政をしき、今や小覇王孫策の地位は確固たるものとなった」。

呂布に徐州を追われた劉備は、許昌の曹操のもとに身を寄せる。そして、曹操の口利きで豫洲の長官に任命される。

南陽を手に入れた曹操は、敵の一族の美女・鄒氏にうつつを抜かし、惨敗を喫する。「しかし、逆境を転じて前進の一歩とする、そういうすべを曹操は知っていた」。

勝手に皇帝を名乗る袁術を討つべく、曹操、劉備、呂布が立ち上がる。「曹操の率いる30万の大軍は直ちに淮南へと向かった」。これに会稽の太守となった孫策も加わる。

「こうして曹操は勝利軍として許昌に引き揚げた。だが苦い勝利だった。犠牲の大きい勝利だった」。