榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

曹操暗殺計画が発覚し、劉備は曹操に攻められ敗走、関羽も曹操の軍門に降る・・・【山椒読書論(579)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年8月21日号】 山椒読書論(579)

横山光輝のコミックス『三国志』(横山光輝著、潮出版社、希望コミックス・カジュアルワイド、全25巻)は、羅貫中の小説『三国志演義』→吉川英治の小説『三国志』の流れを汲んでいる。

第7巻 曹操の智謀」――。丞相・曹操が豫洲太守・劉備を相府に招き、英雄論を戦わす。「竜というものは、天に昇る機がいまだ熟さぬ時は頭を埋め爪をかくし深淵にひっそりと身を潜め、さざ波さえ立てぬ。だが、ひとたび機が熟したと見るや、風を起こし雲を呼び一気に天に駆け上がるという。余は人間の英雄にその姿を見る。さしずめ君もその潜む竜であろうな」。こう決めつけられた劉備は。曹操の警戒心を解くべく、淮南の袁術討伐に赴きたいと願い出る。

曹操から与えられた5万の兵を率いた劉備は、関羽、張飛の働きもあり、袁術を死に至らしめる。

劉備の勢力拡大を恐れた曹操は、劉備を暗殺せよとの密書を出すが、失敗に帰す。

劉備は、袁術の兄・袁紹と結び、曹操に対抗しようとする。

都では、曹操暗殺の血判状の存在が曹操の知るところとなる。「こうして曹操暗殺計画はあっけなく発覚し、計画に加担した者の一族郎党ことごとく捕らえられ、見せしめのため市中引き回しのうえ斬殺された。その数700人にのぼった」。

劉備を討つべく、曹操は20万の兵を率いて徐州に攻め入る。敗走した劉備の行方が分からぬ中、下邳の城を守っていた関羽も敗れ、「もし劉備が生きていることが分かったときは、曹操に告げずに劉備のもとに帰る」等の3条件を付けて曹操の軍門に降る。これほどの条件を呑んでまで、曹操は関羽を自分の部下にしたかったのである。