榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

まるで南蛮探検物語のような趣の第20巻・・・【山椒読書論(601)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年11月9日号】 山椒読書論(601)

横山光輝のコミックス『三国志』(横山光輝著、潮出版社、希望コミックス・カジュアルワイド、全25巻)は、羅貫中の小説『三国志演義』→吉川英治の小説『三国志』の流れを汲んでいる。

第20巻 孟獲心攻戦」――。この巻は、これまでの巻とは異なり、三国間の争いは影を潜め、まるで南蛮探検物語のような趣である。

孔明に率いられた蜀の大軍の行く手を、毒蛇、大蛇、蛭が遮るかと思えば、毒気を吐き出す毒河や飲用不可の毒泉が前途を塞ぐ。

さらには、美人揃いの女軍や、肌も露わな勇猛な南蛮王妃・祝融夫人まで登場する。

遂には、象に跨った木鹿王が先頭に立つ、千頭に近い猛獣軍団との戦いを余儀なくされる。

これらの障害を孔明の智略で乗り越えた蜀軍は、さらに先を目指すのであった。