榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

孔明、出師の表を劉禅に奉じ、30万の大軍を率いて北伐に向かう・・・【山椒読書論(602)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年11月11日号】 山椒読書論(602)

横山光輝のコミックス『三国志』(横山光輝著、潮出版社、希望コミックス・カジュアルワイド、全25巻)は、羅貫中の小説『三国志演義』→吉川英治の小説『三国志』の流れを汲んでいる。

第21巻 出師の表」――。「蜀の建興3年秋9月、南蛮平定をなした孔明は帰途についた」。
「(その翌年5月)大魏皇帝・曹丕もこれまたあっけない最期であった。在位7年、年は40歳であった」。「曹丕の遺命により、その子・曹叡が魏の皇帝に即位した」。

「司馬懿(仲達)は自ら望んで西涼に向かった。それは蜀に対する備えでもあった」のに、孔明の策略が功を奏し、仲達は曹叡から謀反を企てていると疑われ、追放されてしまう。

仲達追放を知った日、孔明は出姉表を書き始める。「それは国に対する忠誠と国家百年の計を述べんとするものであった。蜀にきて国を興した(劉備)玄徳と孔明であったが、その目的は魏を討ち、漢室の復興と遷都の2つであった。孔明は今それを実行に移すべき時と決断したのである」。「なぜ今、北伐かといえば、魏は土地肥沃にして人馬強く、曹操以来ここに3代にわたって大国の態を整え出しました。早く討たねば、そのうち魏を討つなど不可能となり、それは我が蜀の滅亡を意味するからでございます」。

「建興5年春3月、孔明は30万の大軍を率いて北伐に向かった」。

魏の有能な20歳にもならぬ若武者・姜維を、孔明は策略を弄して、自らの配下とすることに成功する。

魏との序戦は、孔明の裏の裏をかいた作戦で蜀軍の大勝利となったが、次の戦いでは、魏に味方する西羌王国の鉄車隊の猛威の前に潰走状態に陥ってしまう。