榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

血と労苦と涙、そして汗のほかに、私が差し出せるものはない。・・・【ことばのオアシス(65)】

【薬事日報 2011年4月25日号】 ことばのオアシス(65)

血と労苦と涙、そして汗のほかに、私が差し出せるものはない。

――ウィンストン・チャーチル

ウィンストン・チャーチルが1940年に下院で行った首相就任演説の一節。上掲は私の訳だが、原文は「I have nothing to offer but blood toil tears and sweat.」である。「我々は、かつてないほど過酷な厳しい試練に直面している。我々の前には、何カ月にも亘る戦いと苦しみが待ち構えている」と続くが、国家が置かれた厳しい状況に立ち向かう自身の堅い決意を明らかにしている。

チャーチルは国民の先頭に立ち、遂に第二次世界大戦を勝利に導くのだが、どこの国であれ首相たるもの、戦争や巨大地震といった国家の危機に遭遇したときは、このような気概を示してほしいと思うのは、私だけだろうか。