家族経営のベーカリーを破綻させるスイッチを押したのは誰か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3125)】
【月に3冊以上は本を読む読書好きが集う会 2023年11月7日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3125)
ペンタス・ランケオラータ(クササンタンカ。写真1)、アベリア(ハナツクバネウツギ。写真2、3)が咲いています。ハゼノキ(写真4、5)、ウルシ(写真6)が紅葉しています。
閑話休題、『スイッチ――悪意の実験』(潮谷験著、講談社文庫)は、推理小説の醍醐味を存分に味わえる作品です。
著名な心理コンサルタント・安楽是清が企画した「悪意の実験」に、箱川小雪、三島大我、桐山玲奈、徐博文、香川霞、茂木水観の6名がアルバイトとして参加します。
経営不振に喘ぐ鹿原弘一一家が経営するベーカリーへの安楽の資金援助を打ち切るべきと考えた実験参加者は専用アプリのスイッチのアイコンを押すというルールの、文字どおり、悪意の実験です。
1カ月の実験期間の最終日に、箱川が置き忘れたスマホを使って、誰かによってスイッチが押されてしまいます。ベーカリーは、当然のことながら、破綻します。
非情にもスイッチを押したのは、いったい誰なのか。
意外な犯人(スイッチを押した人間)が明らかになるが、その後に続くどんでん返し、さらにどんでん返しと息つく暇もありません。
何とも楽しみな推理作家が出現したものです。