断捨離が すんで夫を じっと見る・・・【山椒読書論(823)】
【僕らは本好き読書隊 2024年11月9日号】
山椒読書論(823)
『シルバー川柳 光るジジババ編――笑いあり、しみじみあり』(みやぎシルバーネット・河出書房新社編集部編、河出書房新社)には、そうそうと言いたくなる川柳が満載だ。
●なめた飴 口からこぼれ ブローチに
●手術後の 復活告げる 放屁の音(ね)
●どこ行った 便座でなごむ 爺(じい)見っけ
●セットした 髪を寝癖と 間違われ
●おそわれる それはないなと 失礼な
●百均で 整う終活 ワンルーム
●プチ粗相(そそう) 笑い話で すり抜ける
●結果良し 途端に食欲 わいてくる
●誰だっけ そうか昔の マドンナだ
●万歩計 よろけつまづき 数のうち
●ピンボケが 良いと思える OB会
●「無理するな」 無理をしないと 動けない
●一人鍋 辛味をきかせ 気力出す
●マッサージ 何よりつらい 屁の我慢
●補聴器が 直りケンカが ぶり返す
●同窓会 昔の悪が 市議会長
●同窓会 眉キリキリと ルージュ引く
●参加者が 急減八十路(やそじ)の クラス会
●炊飯器 予約頼んで あたま撫で
●光るもの 今や頭 だけになり
●断捨離が すんで夫を じっと見る
●人間は 惚(ほ)れなくなると 惚(ぼ)けてくる
●爺(じい)食事 美味しかったよ! 婆(ばあ)生き甲斐
●何願う 仏壇の鈴(りん) 高し今朝