榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

コントラクトMRの業界は、どのように変化しているのか・・・【あなたの人生が最高に輝く時(11)】

【MR・メディカル専門職の転職 2012年4月18日号】 あなたの人生が最高に輝く時(11)

MRへの転職ルート

MR未経験者がMRを目指そうとする場合、製薬企業のキャリア(中途)採用に挑戦することも可能であるが、この関門はかなり狭い。

そこで、多くの希望者たちがCSO(医薬品販売業務受託機関)の門を叩くことになる。CSO各社の入社試験に合格後、MR資格を得るための300時間に亘るMR導入教育を受講し、毎年12月に実施されるMR認定試験に備えると同時に、MR活動の実態を学んでいくのである。

日本CSO協会の設立

「医薬品産業のアウトソーシング・パートナーとして、医薬品のマーケティング・販売における革新的で高品質なソリューションの提供とCSO産業の健全な発展を通じて、『良質な医療』と『健やかな未来(あした)』への貢献を目指すCSO企業の団体」として、日本CSO協会が2011年6月に設立された。

協会には、IML、アプシェ、アポプラスステーション、インヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン、オースクエア(旧 J・Staff21)、クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン、シミックエムピーエスエス、ファーマネットワーク、メディサイエンスプラニング(50音順)の9社が加盟しており、日本のCSO市場のほとんどをカヴァーしている。

協会の清水昇会長が、設立に当たっての「あいさつ」の中で、下記のように述べているが、これによって、私たちも日本のCSOの現状と未来のアウトラインを展望することができる。

●医薬品産業を取り巻く環境が大きく変化する中、CSO発祥のイギリスを初めとする欧米諸国では、製薬企業の戦略オプションとして、CSOの活用はなくてはならないものとなっている。

●我が国においても、初めてCSO業務が開始されてから14年が経ち、CSOに所属するコントラクトMR数は2500名を超え、全MR数に占める割合も5%に迫る規模へと成長してきた。

●特に、ここ数年は、従来の欠員補充や新薬上市時の即戦力、中途採用の新たなリソースなどの量的活用に加えて、特定の領域や機能に特化精通した専任MR部隊、MSLサーヴィス(メディカル・サイエンス・リエゾンと呼ばれるエキスパートが、各疾患領域で中心的役割を持つオピニオン・リーダー医師に対して医学的・科学的見地から情報活動を実施)、看護師など有資格者による副作用マネジメント・サーヴィスなど、多様な新しいサーヴィスが進展し、市場の伸びが加速されている。

●日本のCSO産業が第2ステージを迎えていることを強く実感している。2015年には、日本のCSO市場も、欧米のレヴェル(アウトソーシング率:8~10%)、すなわち5000名規模へと普及・拡大することが見込まれている。

初のCSO実態調査結果

2012年4月4日に、日本CSO協会から発表された初の国内CSO事業実態調査結果は、興味深い内容となっている。

●2011年のコントラクトMR数は3036名と3000名を突破し、全MRに占める比率は5%に達した。CSOを活用する製薬企業は67社に上った。2009年との比較では、MR数は1267名増、活用企業数は15社増で、CSO活用が拡大している。

●活用する製薬企業の中心は外資系。内資を含む大手企業の1社平均のコントラクトMR数が倍増している一方で、中堅企業では活用企業数が増加している。

●疾患領域別のコントラクトMRの活用は、「循環器」(49.1%)、「中枢神経系」(47.5%)、「感染症」(30.1%)、「消化器」(28.7%)、「糖尿病」(28.7%)、「呼吸器」(23.8%)、「骨・関節」(16.9%)、「がん」(11.1%)の順。

●コントラクトMRの活用目的(複数回答)は、「主力品の強化」(67.5%)、「新薬の上市」(42.0%)、「中途採用の新しいリソース」(38.7%)、「欠員補充」(29.6%)、「長期収載品の強化」(10.1%)の順。

●コントラクトMRの男性比率は86.4%。コントラクトMRの平均年齢は32.9歳であるが、30歳未満が46.4%と増加傾向にある。CSOが採用するコントラクトMRの異業種出身者比率は81.4%。異業種出身の男性コントラクトMRの平均年齢は30.1歳。同協会は、2015年のコントラクトMR数は5000名程度にまで増えると予測している。なお、協会所属のコントラクトMRのMR認定試験合格率は毎年80%以上と、製薬業界全体のそれを上回る好成績を維持している。