健康寿命をぐーんと延ばそう・・・【MRのための読書論(192)】
予防医学
『40歳からの予防医学――医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』(森勇磨著、ダイヤモンド社)には、健康寿命を延ばすためのヒントが詰まっている。
健康寿命を延ばすためのヒント
●心臓病や脳梗塞のリスクを総合的に判断する「吹田スコア」――
「個人差をできるだけ簡単に評価するために、大阪の吹田市で行われた研究にもとづいて『吹田スコア』という判定基準が作られました。人間の『血管の詰まり』リスクは、コレステロールだけでなく高血圧、遺伝などの『掛け算』で決まります。年齢、LDLの数値、血圧の数値などを当てはめて点数をつけ、今後10年間で心筋梗塞や脳梗塞などを起こす可能性がどのくらいかを判定し、薬の処方などを決めていきます」。
●尿タンパクは「+1」でも必ず再検査――
「検査結果には『-、±、+1、+2、+3』の5パターンあり、『+1、+2、+3』であれば必ず再検査をしてください」。
●注意! お酒を飲まなくても脂肪肝になる――
「現在特に問題になっているのが、アルコール以外の原因による脂肪肝、通称NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)です。日本国内に約1000万人存在すると推定されています。注意点としては『ASTやALTが上がっていなくても、脂肪肝になる』ということです。『脂肪肝になっている=肝臓の細胞が壊れている』ではないので、『数値は正常なのに、脂肪肝が眠っている』ケースも存在します」。
●「ニセうつ」をあぶり出す――
「精神的な原因以外に、3つのホルモンの影響でもうつ病のような症状が出現することがあります。①甲状腺ホルモン、②副腎ホルモン、③テストステロン。甲状腺・副腎ホルモンは内分泌科、テストステロンは泌尿器科が専門になります」。
●がんは「3つ」に分けられる――
「①『予防できる』がん=▶胃がん(ピロリ菌)、▶子宮頸がん(ヒトパピローマウイルス<HPV>)、▶肝臓がん(肝炎ウイルス)、②『早期発見できる』がん=▶胃がん、▶大腸がん、▶乳がん、▶肺がん、▶前立腺がん、③『予防、早期発見の有効な手段が見つかっていない』がん=▶すい臓がん、▶食道がん・咽頭がん、▶膀胱がん」。
●マーガリンを食べてはいけない――
「実はマーガリンは現在アメリカでは『販売禁止』になっています。マーガリンに含まれる『トランス脂肪酸』が体に悪影響を及ぼしているというエビデンスがあるためです。WHOは2023年までに、『食品に含まれるトランス脂肪酸の一切の根絶』という方針を掲げました。ここまで強い呼びかけをWHOが行うのは異例です」。
●「熱いお茶」で食道がんリスクが8倍上がる――
「イラン北東部のゴレスタン州で5万人を対象に行われた研究では、『普段飲んでいる飲み物の温度に応じて食道がんのリスクが上昇。70度を超える熱いお茶を飲む人は、65度を下回るぬるいお茶を飲む人より、食道がんの罹患率が8倍高かった』という結果が出ました」。
●早歩きで1日8000歩を目指す――
「アメリカの約1万5000人の女性を対象にした研究では、『およそ8000歩までは歩けば歩くほど寿命が延びた』というデータが出ています。ただし8000歩を超えてからは大きな変動はありませんでした」。
●高齢者が打つべき2つのワクチン――
「『高齢者に大きなメリットがあるのに、意外と知られていないワクチン』が存在します。それは『肺炎球菌ワクチン』『帯状疱疹ワクチン』です。帯状疱疹が顔に出ると目の周囲に感染し失明することがあり、脳へ直接感染することもあります。さらに厄介なのが『帯状疱疹後神経痛』と呼ばれる後遺症です。発疹がおさまってからも神経の痛みが継続することがあり、一生神経痛に悩まされるケースもあります」。
●「昭和生まれ」は風疹ワクチンを必ず打つべし――
「『妊婦が感染すると高確率で胎児に心臓の奇形や難聴、白内障といった後遺症を引き起こす』からです。これを『先天性風疹症候群(CRS)』と呼びます。恐ろしいことにCRSは、妊娠しているかわからない『妊娠初期』に感染すると、後遺症が出る確率が高まります。妊娠4週以内に感染すると、なんと50%以上の確率で胎児にCRSが起こるといわれています。この風疹の定期接種が本格的になったのは『平成生まれ』の世代からです」。
年齢別やることリスト
●今すぐやる=▶ピロリ菌検査、▶HPVワクチン(45歳まで)、▶風疹ワクチン(昭和生まれ世代)
●40歳から=▶肝炎ウイルス検診(1回)、▶マンモグラフィ(2年おき、高濃度乳房なら乳腺エコーも検討)、▶細胞診(3年おき)、細胞診+HPV検診(5年おき)
●50歳から=▶胃カメラ検査(2~3年おき)、バリウム検査(1~3年おき)、▶便潜血検査(毎年)、▶大腸カメラ検査(10年に1回)、▶帯状疱疹ワクチン
●55歳から=▶低線量CT(ヘビースモーカーは毎年)、▶PSA検査(PSAのメリット・デメリットを考えて選択。55~69歳)
●65歳から=▶腹部超音波検査(65歳以降の喫煙者男性)、▶骨粗しょう症検診(女性は65歳から。男性は70歳から)、▶肺炎球菌ワクチン(65歳から。持病があれば60歳)
早速、明日から対処しなければならないことが、私にも、いくつかあるぞ!
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