榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

家の中を歩き回り、円らな瞳が愛らしいハエトリグモの図鑑・・・【情熱的読書人間のないしょ話(905)】

【amazon 『ハエトリグモ ハンドブック』 カスタマーレビュー 2017年10月6日】 情熱的読書人間のないしょ話(905)

ノート、手帳、メモ、企画案、原稿の骨格、手紙・葉書などでボールペンをしょっちゅう使う私は、この数十年間、PILOTの「2+1 MiDY」を愛用してきました。今回、PILOTの「2+1 Acro DRIVE」を購入したのですが、その使い勝手のよさにびっくりしています。黒・赤2色とシャープペンのスライド・レヴァー式ですが、書き出しがスムーズで、滑らかに濃く書けるのです。力を入れなくても滑らかに書け、しかも字が濃いというのは、私のような年齢の者には嬉しいことです。油性インクを搭載しているのに、従来の油性インク・ボールペンと異なり、書いた紙を裏抜けしないのは、新開発の油性インクの特性と思われます。我が家のハナミズキの葉が赤く色づいてきました。

閑話休題、『ハエトリグモ ハンドブック』(須黒達巳著、文一総合出版)を読んで驚いたことが、3つあります。

第1は、こんなにも多種多様なハエトリグモが日本に存在しているということ。本書には日本産のハエトリグモ103種が収載されていますが、これ以外の新種候補が64も掲載されています。

第2は、著者のハエトリグモに対する愛がひしひしと伝わってきたこと。著者は、高校時代にハエトリグモに出会い、魅了され、大学でハエトリグモの研究で修士号を得た後、フリーターになって日本中を駆け回り、日本産のハエトリグモ105種中103種の採集・撮影を成し遂げたのです。

第3は、本書のおかげで、ハエトリグモが網を張らない理由が判明したのですが、その理由が意外だったこと。「ハエトリグモは、クモ目ハエトリグモ科に属するクモの総称です。クモの多くはあまり視力が良くなく、振動や匂いを頼りにエサやパートナーを認識します。また、エサを捕まえるために、いわゆる『クモの巣』(専門的には『網』と呼びます)を作ります。一方、ハエトリグモは眼が大きく、ずば抜けてすぐれた視力をもっています。かわいいパチクリおめめは飾りではなく、『眼が良い』ゆえに、ハエトリグモはエサとなる小さな虫を『眼で見て飛びついて』捕まえることができます。そのため、『クモの巣』は作りません」。

家の中で見つけることができるハエトリグモは3種ですが、我が家に現れたアダンソンハエトリ、ミスジハエトリはカメラに収めることができたので、残るチャスジハエトリの出現を待っているところです。

色合いが美しいキレワハエトリ、ナカヒラハエトリ、カタオカハエトリ、ヨダンハエトリにも出会いたいと願っています。