榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

地球の大量の水は、超接近した氷惑星からやって来た・・・【山椒読書論(293)】

【amazon 『灼熱の氷惑星』 『氷惑星の謎』 カスタマーレビュー 2013年10月14日】 山椒読書論(293)

書斎の整理をしていたら、書棚の『灼熱の氷惑星――地球との接触でノア大洪水が再襲来』(高橋実著、原書房。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)と『氷惑星の謎』(高橋実著、原書房。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)が、ふと目に留まった。かなり以前のことだが、この著者の仮説に興奮したことを懐かしく思い出した。

地球は謎多き惑星だ。「地球にほど近い他の惑星、水星・金星・火星などは、すべてゴツゴツの岩だらけ。地球にだけ、こんなに大量の水があるのはおかしい」という素朴な疑問から出発した著者は、「地球上の水は、地球とニアミスを起こした他の天体から移ってきたものだ」という大胆な仮説に到達する。マンモスなど古生物絶滅の謎、砂漠・炭田・石油・ダイアモンド・氷河成因の謎、ノアの洪水の謎など、従来の科学の常識では決定的な解答が得られなかった問題の数々が、この仮説により明快に説明できるというのだ。

久しぶりに読み返しても、スケールの大きな仮説は、今なお瑞々しい。

地球の海の起源に関する多くの研究がなされてきたが、その水がどこから、どうやって地球に供給されたかは解明されていない。2011年10月に、地球上の水と化学的に近い水が彗星上に存在することが、初めて確認されたが、興味が尽きないテーマである。