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風雲急を告げ、蜀軍10万と魏軍40万が激突・・・【山椒読書論(589)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年9月3日号】 山椒読書論(589)

横山光輝のコミックス『三国志』(横山光輝著、潮出版社、希望コミックス・カジュアルワイド、全25巻)は、羅貫中の小説『三国志演義』→吉川英治の小説『三国志』の流れを汲んでいる。

第16巻 張飛の智略」――。「漢中を平定し、呉にも年々の貢物を誓わせたことは、何はともあれ、曹操にとっては大戦果であった。曹操は都に帰ると、魏王を名乗り、鄴都に魏王宮の建設を始めた。建安21年10月、魏王宮は完成した」。

曹操の幕下として司馬仲達が登場する。三国志時代の最終的な勝者と、私が考えている人物である。

「曹洪率いる魏兵5万は、漢中から積極的に蜀の境に集結していた」。張飛、黄忠と厳顔の二老将らの活躍により、蜀軍は大勝利を収める。「天蕩山奪取の報に成都は沸いた。(劉備)玄徳はこの大勝を喜び、盛大な祝勝の宴を張った」。「諸大将に言う。余は漢中平定の軍を今、起こす。ここを奪り、曹操と太刀打ちできる力を養い、再び朝廷の権威を取り戻し、戦のない世をつくるのじゃ」。「建安23年7月、玄徳は10万の兵を動員し、漢中へ向かった」。

「孔明指揮のもとに漢中進撃を開始した蜀軍。蜀と魏、ここに再び風雲急を告げた」。「曹操は直ちに40万の兵を起こし、漢中へと急いだ」。

20万の魏軍が攻め寄せる小さな砦に立て籠もる趙雲。「趙雲はただ一騎、吊り橋の上に立ちはだかった」。曹操は目を剥く。「なにっ、この20万の軍勢にただ一騎!」。

「曹操も命からがら逃げのびた。手薄になった曹操の陣に火を放ったのは劉封、孟達の別動隊であった。もちろん孔明の指図によるものであった。魏軍の損害は予想をはるかに越える大きなものであった」。