榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

蜀の孔明と魏の仲達、遂に天才同士の戦いの火蓋が切られる・・・【山椒読書論(603)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年11月12日号】 山椒読書論(603)

横山光輝のコミックス『三国志』(横山光輝著、潮出版社、希望コミックス・カジュアルワイド、全25巻)は、羅貫中の小説『三国志演義』→吉川英治の小説『三国志』の流れを汲んでいる。

第22巻 街亭の戦い」――。「(蜀に大敗した)魏は国家の危機を仲達にかけた」。「今ここに、孔明が一番恐れていた人物・司馬懿仲達が立ち上がったのである」。

「それにしても孔明とは恐ろしい男じゃ。わし(仲達)の考えと行動をまるで見通しているようだ。孟達が(孔明の)指図通りに動いていたなら魏国は危なかったぞ」。

「馬謖は馬良の弟で、その秀才ぶりは小さな時から知られていた。孔明もその才能を愛していた」。「魏軍に備えての孔明の万全の布陣も、司馬懿を甘く見、功をあせった馬謖のために、いま大きくほころびようとしていた」。「馬謖の才能を買い、重要地点を任せた孔明であったが、馬謖が才におぼれ、功をあせり、勝手に街亭山に陣取ったことが孔明万全の布陣を完全に狂わせてしまったのである」。「この街亭の戦いは、たった一人馬謖の布陣の誤りが、今までの勝ち戦をすべてふいにし、蜀大敗を引き起こしたのである」。「蜀の各部隊は険路を越えて、続々と漢中へ引き揚げてきた。どの部隊も困難と苦戦を物語るように疲れ果てていた」。

「馬謖よ、功をあせり、蜀全軍を退却のやむにいたらしめた罪は重い・・・そなたは・・・そなたは死刑じゃ」。「蜀の建興6年5月、馬謖は首を打たれた。孔明は馬謖の首を見て泣きくずれた」。

石亭の合戦で、蜀の同盟国・呉が魏に大勝する。「漢中に留まり軍を立て直すこと半年、孔明は再び(魏を討つべく)出陣した。この時、孔明48歳であった」。しかし、苦戦を強いられる。