榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ハシブトガラスとハシボソガラスの臨場感溢れる生態写真集・・・【山椒読書論(724)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年7月27日号】 山椒読書論(724)

にっぽんカラス遊戯(スーパービジュアル版)』(松原始監修・著、宮本桂写真、カンゼン)は、「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん」といった風情のハシブトガラスとハシボソガラスの臨場感溢れる生態写真集である。

「お利口でたまにおマヌケ、気が強いくせにヘタレ、そして全力で生き延びていく、ヒトとは違う生き物の一つ。それがカラスです」。

「昔から話題になる『動物は数の概念があるのか』という命題です。カラスの研究では『どうやら数の概念がある』としているものもあり、より慎重な判断をしているものもあり、です。人間の顔を見分けられるか? については、慶應義塾大学と宇都宮大学の実験で『見分けられる』という結論が出ています。これも実際は非常に綿密な実験計画が必要で、まずは写真を見せて『この人とこの人は同じ?』という課題に正解したらご褒美が出るようにし、次第に『服装が同じ』『モノクロ』というように見分けるための条件を厳しくしていっています。それでもやっぱり見分けられるので、『これは顔立ちの違いを見ているとしか判断できない』という結論になっています」。

「Close Up! カラス研究室の『現場感覚』満載!――カラス研究に携わる現役院生が発信する話題の動物心理マンガ」(作者:鈴木結子=慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻)も紹介されている。