日本画の魅力を再認識することができた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(402)】
【amazon 『喚声』 カスタマーレビュー 2016年5月31日】
情熱的読書人間のないしょ話(402)
東京・大崎のO美術館で開催されている稲熊万栄展で、日本画の魅力を再認識することができました。とりわけ、悪童たちの生き生きとした動きを活写した「野道で」、「水のみ場」、農作業に勤しむ母の姿を甦えらせた「風の記憶」、故郷ののどかな風景を懐かしむ「胸中のながめ」には惹きつけられました。美術館が入っているビルの前の噴水が涼しげです。神田古書店街を何時間もぶらつき、いろいろと本を買い込んでしまいました。因みに、本日の歩数は16,252でした。
『喚声――稲熊万栄画集(新装版)』(稲熊万栄著、芸術新聞社)には、上記に挙げた作品を含め、多くの作品が収載されています。
昭和初期の故郷の祭りや葬式、日々の生活、子供たちの遊びなどがほのぼのとした筆致で描かれている一連の絵は、当時の人々の生活ぶりを伝える貴重な資料集としても価値があります。それぞれの絵に、「秋のとりいれが終って新米のごへい餅で祝う。香ばしい五平餅は坂下(著者の故郷)の味」、「ぼろと、あきかんで作った誘蛾燈をともす。集まった苗代の蛾は、たらいの水にとびこんで死ぬ」、「勢よく馬が進んだ後に、すき返された土が黒光りする」といった説明が書き込まれているので、私たちも当時の生活を実感することができます。