榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

腐生植物は、被子植物でありながら、カビやキノコを食べている・・・【情熱的読書人間のないしょ話(461)】

【amazon 『森を食べる植物』 カスタマーレビュー 2016年7月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(461)

東京・杉並の西荻窪を巡る散歩会に参加しました。薬王院は緑に包まれています。三峯神社の狛犬は狼の姿をしています。源頼義や太田道灌と関係の深い荻窪八幡神社は風格を漂わせています。井戸からは勢いよく水が出ました。樹齢200年、樹高19.5mの大きなケヤキが聳え立っています。西荻窪駅の店は壁面を緑の植物で覆われています。善福寺川でカワウが飛び立つところを目撃しました。因みに、本日の歩数は19,386でした。

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閑話休題、『森を食べる植物――腐生植物の知られざる世界』(塚谷裕一著、岩波書店)のおかげで、これまでほとんど知ることのなかった腐生植物を身近に感じられるようになりました。

腐生植物とは、どういうものでしょうか。「まるで海の動物、ホヤやイソギンチャクのようであるが、れっきとした陸上植物、花を咲かせる被子植物だ。ただし緑の葉は持たない。腐生植物とは、緑の葉を持たず、光合成をしない代わりに、カビやキノコを食べて暮らす植物のことである。カビやキノコを食べると言っても、曲がりなりにも花の咲く植物のこと、動物のようにキノコをもぎ取って食べるというような乱暴なことはしない。もっと静かで、優雅なやり方をする。すなわち、この腐生植物の根に自ら侵入してくるカビやキノコの菌糸を返り討ちにして、自らの栄養源としてしまうのだ。腐生植物の地下部では人知れず、静かな戦いがくり広げられているのである」。

日本で最も身近な腐生植物であるギンリョウソウや、東アジア産の被子植物中、最も風変わりな形の花を付け、そして日本の腐生植物を代表するタヌキノショクダイなどについて、詳しく解説されています。

腐生植物の存在は、その森の豊かさを反映する、その森の生態系の健全さを表す、と著者が強調しています。

著者の腐生植物に対する熱い思いが伝わってくる貴重な一冊です。