榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

日本会議と創価学会、日本会議と生長の家の関係とは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(909)】

【amazon 『ドキュメント 日本会議』 カスタマーレビュー 2017年10月10日】 情熱的読書人間のないしょ話(909)

これまで使用してきた小型・軽量の双眼鏡では十分な野鳥観察ができないので、猛禽類を初め野鳥に造詣の深い紺野竹夫さんとFさんのアドヴァイスに従い、Nikon MONARCH5の8×42を購入しました。その性能は倍率:8倍、対物レンズ有効径:42mm、実視界:6.3°、明るさ:28.1、重さ:590g、構造:防水ですが、実際に遠方の野鳥が大きく、細部まで鮮明に見えるのにびっくりしています。熟したカキの実にメジロが群がっています。あちこちで、ホウキギ(ホウキグサ、コキア)が赤紫色に紅葉しています。因みに、本日の歩数は11,312でした。

閑話休題、『ドキュメント 日本会議』(藤生明著、ちくま新書)には、興味深いことが書かれています。

民族派活動家から退いた評論家の鈴木邦男へのインタヴューが目を惹きます。「憲法についても、活動家のころは前文が日本語になっていない、九条に問題ありと、改憲を本気で訴えていた。今は、そうした改憲によって生じる反動のほうが、むしろ怖い気がする。占領軍は自国でできないことを実現しようと、情熱をもって日本国憲法をつくった。『その情熱が、いま改憲しようという人に果たしてあるのかな』。占領軍がつくった、日本人のものじゃないと批判をするが、ただ昔に戻りたいという理由ならば、改正する必要はないと鈴木は思うようになった」。

1997年、反創価学会の諸教団と自民党との間の「アンチ学会の空気が後押しする中、日本会議は結成された。現在、神社本庁、伊勢神宮、熱田神宮、靖国神社、明治神宮、黒住教、大和教団、延暦寺、念法眞教、佛所護念会教団、新生佛教教団、崇教真光、解脱会などの代表者らが日本会議の役員をつとめる。ところが、自民党のほうが上手だった。政権復帰後、徐々に公明党・創価学会に接近をはじめる。1999年に自民、自由、公明の自自公連立政権が発足。その後は民主党政権を除いて、公明党とともに政権与党であり続けている。村上(正邦)は渋い顔だ。『政権から出て行ってほしいと思うけれどね。日本会議と公明党が内閣の脇を固める形になっちゃってね』。とはいえ、それは引退した村上だから言えることだろう。多くの自民党議員にとって、『公明党・創価学会は自陣にとって最大の集票マシン、生命維持装置』という現実がある。・・・公明党関係者は『それで、安倍内閣の足を引っ張っている公明党には閣外に出ていってとかよく言えると思う。伝わらないとでも思っているのでしょうか』と牽制を忘れない。・・・ならば、日本会議、とりわけ、実務を担う日本協議会・日青協はどうか。機関誌を読み込むと、公明党に違和感を覚えている様子がよく分かる」。

椛島有三ら、生長の家脱会者が日本会議の中枢に多くいますが、現在の成長の家はこう宣言しています。「『成長の家は2016年6月9日、夏の参院選に対する教団の方針<与党とその候補者を支持しない』を発表しました。安倍政権は12年以来、立憲主義をないがしろにし、生長の家の信仰や信念と相容れない政策や政治運営を行ってきたからです』と主張。次いで、『安倍政権に日本の政治を任せておくことの危険と問題を理解するには、立憲主義が西洋の近代民主主義のみならず、明治以降の天皇制の根幹をなす思想であることを知らねばなりません』と、立憲主義の重要性を訴えている。そのうえで、椛島ら日本会議の危険性についてこう述べる。『抑止力の必要性を強調する安倍政権に目立つのは中国・北朝鮮に対する強硬な姿勢です。それは右翼組織『日本会議』と一致しています。安倍政権がこのような団体の支持を得て抑止力を強調しているのであれば、自ら敵を作り出す危険性があります』。・・・リベラルな内容だ。・・・教団にとってみれば、椛島らはもはや交わりようのない、鬼っ子といった位置づけなのだろう」。

著者は、こう結論づけています。「私も、『安倍政権を陰で牛耳る』といった日本会議批判は過ぎた表現だと思う。ただ、日青協以来、運動は自らの組織を大きく見せ、多方面に強い影響力をもつ団体であるというイメージ拡散に軸足を置いてきた。数百万もの署名活動や地方議会決議、武道館一万人集会、傘下のさまざまな団体づくり・・・。実際、その演出に成功した。ところが、自分たちが注目され、批判を浴びると、小さなグループの寄せ集めにすぎないと弁明を始めた」。