フルカラーの説明図のおかげで、宇宙の誕生が視覚的に理解できる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1325)】
サンタ・クロースに、クリスマス・プレゼントとして何が欲しいと聞かれたので、包容力と答えたら、苦笑いされてしまいました。これまでの人生で蓄積してきた膨大な記録、情報、資料を、①即、捨てる、②もう一度読んで、捨てるか保存かを判断する、③保存する――に仕分けする作業を進めています。その作業中に、かなり以前、飛騨高山を旅した時の写真が出てきたのには、びっくりするやら、懐かしいやら。
閑話休題、『絵でわかる宇宙の誕生』(福江純著、講談社)は、フルカラーの説明図のおかげで、宇宙の誕生が視覚的に理解できるよう、工夫が凝らされています。
私が一番知りたい宇宙の始まりについては、このように説明されています。「アインシュタインの一般相対性論は時空の進化を取り扱いますが、時空そのものの誕生や、さらには時空の前などは扱えません。宇宙の誕生は長らく大きな謎でしたが、ミクロな世界を扱う量子力学とマクロな時空を扱う相対性理論が手を結ぶことによって、20世紀末ぐらいから、宇宙開闢についての量子論的な議論がなされるようになりました」。
「1965年の3K宇宙背景放射の発見以降、ビッグバン膨張宇宙像が確立する一方、シンプルなビッグバン宇宙モデルにはいくつかの深刻な問題点が指摘されていました。いわゆる、地平線問題、平坦性問題、そして特異点問題です」。地平線問題、平坦性問題、特異点問題がどういうものか、そして、インフレ―ション理論が地平線問題と平坦性問題を一挙に解決したことが、分かり易く解説されています。ただし、特異点問題については、ハートルとホーキングが1983年に、虚時間の概念を用いた無境界仮説を提唱したが、「提案当初は注目を浴びたものの、実時間と虚時間という2つの時間が存在することなど物理的な問題を抱えており、それ以上の研究は進んでいないようです」。また、インフレ―ションの原因についても、未解決の大問題として残されています。
インフレーション理論は、このように解説されています。「ビッグバンによる宇宙膨張は、比較的ゆるやかなものですが、現在の宇宙論では、ビッグバン膨張期の前にインフレーション膨張期と呼ばれるものがあったと考えられています。すなわち宇宙誕生直後、プランク時間と呼ばれる10-44秒ほどの非常に短い時間ぐらいに、宇宙は指数関数的に大きくなる急激な膨張をして、引き続きビッグバンに移行し、いわゆるビッグバン膨張宇宙になったのだと考えられています(現在では、10-38から10-26秒ぐらい)。この宇宙開闢時の指数関数的で急激な膨張がインフレーションで、そのような急激膨張する宇宙をインフレーション宇宙と呼んでいます。ビッグバン膨張期とインフレ―ション膨張期では、どちらも宇宙は時間とともに大きくなるのですが、宇宙の膨張の仕方が極端に異なっています」。
これで、大分、頭の中が整理できました。