古代ローマの哲学者エピクテトスに、悩みの解決法を教えてもらおう・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1897)】
ヒマワリが咲き始めました。あちこちで、ノウゼンカズラが咲いています。黄色いグラジオラスが咲いている家の、昆虫や爬虫類に非常に詳しい小学生の女の子が、庭にニホンカナヘビが棲み着いていると教えてくれました。因みに、本日の歩数は11,014でした。
閑話休題、『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。――古代ローマの大賢人の教え』(山本貴光・吉川浩満著、筑摩書房)は、対談形式で、エピクテトスの哲学が分かり易く解説されています。
我々の「権内にあるもの」と「権外にあるもの」の区別こそ、哲学を志す者にとって、いや、どんな人間にとっても、一番根本的で、決して忘れてはならないことだと、エピクテトスは言っています。「権内にあるもの」とは、自分でコントロールできるもの、「権外にあるもの」とは、自分ではコントロールできないもの。両者の違いは、自分の権利や権力、権限の範囲内にあるかどうかだというのです。
両者を適切に区別できている状態こそ、人間にとって最も幸福な状態であり、我々が目指すべき最善の状態だと、エピクテトスは言っています。幸福になりたいのなら、自らコントロールできることを十全にコントロールしながら、コントロールできないことにいちいち煩わされることのないような状態を目指せというのです。
「ストア派=禁欲主義」と捉えられがちだが、欲を禁じる「禁欲主義」ではなく、欲をコントロールする「操欲主義」でいくことを、エピクテトスは勧めています。操欲主義を実現するには、自分の抱く欲望などが権内か権外かを見極める練習あるのみと強調しています。
我々が生まれながらにして持っている理性的能力こそ、我々の権内にある唯一の能力だと、エピクテトスは断言しています。
エピクテトスの哲学の核心は、①我々の権内にあるものと権外にあるものの区別、②我々の権内にある唯一の能力としての、理性の使用、③論理的に思考し(論理学)、正しく自然を認識したうえで(自然学)、よく生きる(倫理学)こと――の3つだというのが、本書の結論です。