榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

嫌な人、苦手な人は、私の人生ドラマを盛り上げてくれる悪役だ・・・【MRのための読書論(124)】

【Monthlyミクス 2016年4月号】 MRのための読書論(124)

人生はドラマだ

「人生はドラマだ」と考えるだけで、これまで見えていたものとは違う世界が広がっていることに気づく。このことを教えてくれたのが、『ドラマ思考のススメ――人とチームの魅力を引き出す』(平野秀典著、あさ出版)である。

「人生はドラマ、あなたはその主人公」と考えると、●トップセールスと一流の役者は同じスキルを磨いている、●結果を出すリーダーと名演出家は同じ方法を使っている、●一流の経営者と人気脚本家は同じ能力を持っている――というふうに思考が広がっていく。

私は役者だ

著者は、一流の役者のように自分自身を演じ切れ、と檄を飛ばす。そのためには、日々の業務の中で、昨日よりも1%進化することを心がけることが大切だ。小さな実践を繰り返す力が想像を超える大きな力を生み出していく。そして、日常のレッスンとして、●本来、自分に備わっている「標準装備」を思い出す、●パソコンや携帯電話が繋がらない時間を持つ――ことを勧めている。

リアル・ビジネスの世界で「業績を上げているのは、『売り込みがうまい人や企業』ではなく、『お客様の買うお手伝いがうまい人や企業』に信頼と人気が集まっています。『買うお手伝い』というアプローチができる人とは、お客様の視点から商品やサービスを語れる人で、顧客がどんな素晴らしい体験ができるのか(ハッピーエンド)を、イメージ豊かに伝えられる人です」。「現代のトップセールスは、お客様と正面から向き合って売る『対面セールス』ではなく、お客様とドラマを共演するような『共演セールス』へとシフトしています」。

さらに、毎日がオーディションと心得よとアドヴァイスしている。「オーディションとは、一般的には『選考される場』という意味でとらえられていますが、見方を変えれば、自分の才能や個性が最も輝くステージを自分が選考している場でもあるのです」。常日頃から成功の準備をしている人に幸運が舞い降りてくるのだ。

私は演出家だ

「結果を出すリーダーと名演出家には、才能の持ち主を惹きつけ、育て、その才能を開花させる引力を持っている共通点があります。理論や知識をいくら知っていても結果を出さなければ仕事にならない、という意味で、リーダーと演出家は大変似ている仕事です。名演出家の仕事のゴールは単純明快です。作品と役者の持つ魅力を最大化させること。それを実現できる力が演出家の腕になります」。

私は脚本家だ

脚本家ならば、満足ではなく、感動・感激・感謝のシナリオを描こうと呼びかけている。ここで示されている「感動の方程式」が興味深い。●期待>>実感=怒り、●期待>実感=不満、●期待=実感=満足、●期待<実感=感動、●期待<<実感=感激、●期待<<<実感=感謝――だというのだ。

ハッピーエンドの創り方

嫌な人、苦手な人は、私の人生ドラマを盛り上げてくれる悪役だと、発想を転換しよう。「もしも人生がドラマだとしたら、様々なシーンで出会う共演者と共に、100万回のハッピーエンドを生み出そう。ドラマのテーマを『悲劇』や『喜劇』ではなく、『ハッピーエンド』と決めることで、人間関係が変わり、ビジネスの成功が加速する」。

ワクワクするドラマというのは単純なプラス・オンリーではなく、「プラス×マイナス=ハッピーエンド!」だというのが、著者の考え方だ。「異質なものが統合されると『アイデア』や『イノベーション』が生まれます。プラスの出来事とマイナスの出来事の両極が統合されると『感動』が生まれます。ポジティブとネガティブの感情が統合されると『感謝』が生まれます」。

ドラマでもビジネスでも、顧客満足の段階から顧客幸福の段階へ進めよと発破をかけている。それによって、win-winの関係からhappy-happyの関係に進化するというのだ。 

自分の人生をパッピーエンドにするか否かは、まさに、あなた次第なのだ。