人生で大切なのは好きなことをする時間だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2011)】
ナガサキアゲハの雌(写真1~4)、モンシロチョウ(写真5)、キタテハ(写真6)、ヒカゲチョウ(写真7~9)、ヒメジャノメ(写真10)をカメラに収めました。さまざまな色合いのバラが芳香を漂わせながら咲き競っています。
閑話休題、『還暦からの底力――歴史・人・旅に学ぶ生き方』(出口治明著、講談社現代新書)は、これまでの出口治明の著書に比べて、一段と舌鋒が鋭くなっている感じを受けます。次々と、小気味よい見解が展開されています。
●人生で大切なのは好きなことをする時間。
「人生で大切なのは、何といってもパートナーや気のおけない友人たちと過ごす時間であり、自分が好きなことをする時間です。僕が日常で好きなことは、食べる、本を読む、眠るの3つです。だから食べる時間はたっぷりとり、寝る前の1時間は本を読み、眠る時間もたっぷりとります」。
●人生を無駄にする3つの考え。
「社会派ブログで有名なちきりんさんの名言に『<愚痴を言う>、<他人を羨む>、<誰かに評価して欲しいと願う>・・・人生を無駄にしたければ、この3つをどうぞ』があります。この3つにはすべて人生を無駄にする根拠があります」。
●死んだら星のかけらに戻るだけ、恐れても仕方がない。
「死というファクトに対しリアルに向き合えば、人間の死は自然現象として受け入れるしかありません。自分の死に対して恐怖を感じる人もいるでしょうが、確実な事実として人間は誰でもいずれは死を迎えるのです。必ずやってくる未来に思い悩んでも仕方がありません。死については古来、哲学者たちが『人間はどこから来て、どこへ行くのだろう』と考えてきました。しかし、いまは自然科学の進歩でもう答えがわかっています。私たちは星のかけらから誕生した生物の一種で、死んだらまた星のかけらに戻るだけ。すなわち、死んだら物質に戻り土に還る。そこに感傷の入り込む余地は全くありません」。
●人生は愛情や友情の獲得競争。
「誰か共感してくれる人が一緒にいるほうが人生ははるかに楽しいものです。要するに、パートナーの愛情や友人の友情があったほうが人生は楽しくなるのです。その意味で、人生は愛情や友情の獲得競争といってもいいでしょう。人生で一番大切なのがパートナーや友人で、そういう存在にどこで出会えるかといえば、仕事や社会との関わりのなかからです。その意味でもどんどん外に出たり、自分のコンテンツを豊かにしたりして、新たな人との出会いをつくったほうがいいのです。家に引きこもっている場合ではありません」。
●「物事の見方」をどう磨くか。
「どんな分野を学習するにせよ、基本的な物事の見方が重要になるのはいうまでもありません。人間の考えは『人・本・旅』の累積が形作ります。いろいろな人に会って話を聞く。いろいろな本を読む。いろいろな場所へ行って刺激を受ける。そうやってインプットした個々の知識を、『タテヨコ算数』で整理して、全体像をつかんでいくことが大切です。『タテ』とは時間軸、歴史軸のこと。『ヨコ』は空間軸、世界軸。算数はデータでものごとをとらえる、ということです。数字、ファクト、ロジックと言い換えることもできます。なぜタテヨコが重要かといえば、私たちの住んでいる宇宙の構造がそうなっているからです。宇宙は時間と空間が一体となった器である、という当たり前のことがわかっていれば、時間軸と空間軸で物事を見る重要性が理解できるでしょう」。
●教養は「おいしい人生」を楽しむためにある。
「『教養=知識×考える力』という式になり、これはおいしい人生をおくるには必須のものです」。
●考える力をつけるにはまず「古典」の型を真似る。
「本を読む意味は単なる知識の獲得にとどまらず、先人の思考のパターンや発想の型を学ぶことにあります。料理のレシピとまったく一緒です。先人の思考のプロセスの追体験からはじめるのです」。
●「迷ったらやる。迷ったら買う。迷ったら行く」。
「僕は『迷ったらやる。迷ったら買う。迷ったら行く』をモットーにしています。・・・行動しなければ、世界は1ミリたりとも変わりません。いくつになっても楽しい人生をおくりたかったら、いまの自分が一番若いのだから、いますぐ行動すべきなのです」。
出口のように、自分の信念に従い、ぶれることなく行動することは難しいとしても、学ぶべき点が多い一冊です。