榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

リベラリストなのに、なぜ憲法9条削除、徴兵制施行を主張するのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(220)】

【amazon 『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』 カスタマーレビュー 2015年11月7日】 情熱的読書人間のないしょ話(220)

散策中に、紅葉して燃え上がりそうなドウダンツツジに出会いました。電線に止まって「ツツピーツツピー」と囀るシジュウカラをカメラに収めることができました。今日も私好みの小さなキクをたくさん見かけました。因みに、本日の歩数は16,155でした。

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閑話休題、『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください――井上達夫の法哲学入門』(井上達夫著、毎日新聞出版)には、驚かされました。

著者が、安倍政権による政治の右旋回に危機感を強めているのに、憲法9条は削除すべき、徴兵制を敷くべきと主張しているからです。

「民主主義といっても、遠い他国に(自衛隊のような)志願兵が送られて戦闘している自国の戦争を、遠くでながめている限りでは、人々はなかなか真剣には考えない。やはり、下手な戦争をすると、自分や、自分の子供たちが本当に命を落とす、あるいは人を殺さなければならない立場になる、ということが切実に感じられて、初めてその戦争はやるに値するのか、真剣に考えるようになる。だから、徴兵制の採用は、軍事力をもつことを選択した民主国家の国民の責任である、と。自分たちが軍事力を無責任に濫用しないために、自分たちに課すシバリだ、ということです。そして、徴兵は、絶対に無差別公平でなければいけない。富裕層だろうが、政治家の家族だろうが、徴兵逃れは絶対に許さない」。

徴兵制を採用すべきだが、その上で、兵役に対する良心的拒否権を保障すべきというのです。「現行憲法第9条を素直に読むなら、それは絶対平和主義だ。しかし、今の護憲派は、この絶対平和主義をまじめに受け取っていないから欺瞞だ。しかし、それは、絶対平和主義が支持されるべきだという意味ではありません。絶対平和主義を、欺瞞的にではなく、貫くという人がいるなら、それはもちろん立派です。殺されても殺し返さない。非暴力抵抗。そういう峻厳な倫理的責務を負う覚悟があるならば、尊敬に値する。しかし、それは普通の人には背負えない、過度に重い道徳的責務です。だから、絶対平和主義者でなくてもべつに恥ではない。日本国憲法は、字句どおりに読めば、この普通の人が負いきれない責務を集団で選んだようになっているから、その部分は削除されるべきだ、と私は言っている」。「誤解のないように言っておけば、私は徴兵制を定言的に憲法に入れろと言っているんではないですよ。もし戦力を保有するなら、無差別公平な徴兵制を採り、良心的兵役拒否権を保障しなければならない、そういう条件でのみ戦力を保有できるという条件づけ制約を入れろ、ということです」。

また、著者は、「リベラリズム」を「自由主義」とするのは誤訳で、「正義主義」とすべきだという説を展開しています。

思いがけない意見に出くわすと、脳が刺激を受け、問題の本質は何なのか、その問題にどう対処すべきかを真剣に考えるようになります。この意味で、本書は強力な脳刺激剤と言えるでしょう。