今や、「問題解決力」よりも「問題発見力」の時代だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2075)】
カケス(写真1~3)が激しく警戒の鳴き声を発しているので、辺りを見回したところ、近くの高木にツミの雌(写真4~9)が止まっているではありませんか。モズの雌(写真10、11)もカメラに収めました。
閑話休題、『問題発見力を鍛える』(細谷功著、講談社現代新書)は、現在のようなVUCAの時代は、必要な能力が一変したと強調しています。VはVolatility(変動性)、UはUncertainty(不確実性)、CはComplexity(複雑性)、AはAmbiguity(曖昧性)を意味しています。
今や、必要なのは「問題発見力」だというのです。「安定している時代にはある程度問題はわかっているので、それを解決する能力(問題解決力)が重要ですが、不確実性が上がれば上がるほど、『そもそも何が問題なのか?』を考える能力(問題発見力)が重要になってきます」。
「問題を発見するために最も重要なこと、まずは自分には見えていないものの方が多いのだという『無知の知』の自覚です。それによって安易に与えられた問題を信じないことで思考回路を起動します。本書では問題とは身の回りの事象や私たちの頭の中に生じている何等かの『歪み』であり『ギャップ』であり、それを『変数で記述すること』であるという定義とします」。
「今後人間がやるべきことは明白でしょう。問題が明確に定義できて、膨大なデータが手に入る領域はAIに任せて、人間はさらにその上流の、まだ明示的に語られていない問題を自ら能動的に見つけていくことが重要になります」。
問題発見力を鍛えるには――
●まずは問題を疑ってかかる。
●「なぜ?」と何度も問うことで、真の問題を見つける。
●新しい「変数」を考える。「皆さんの仕事や日常生活における問題での『変数』とは何でしょうか? 旅行であれば、たとえばホテルの満足度、訪れた名所旧跡の話題性、料理のおいしさといったものが『変数』になり、これらをいかに最大化できるかが旅行の楽しさを決定することになると思います」。
●「いまよりも良くなった状態」(あるべき姿)を思い浮かべて、その状況と現状との違いを「問題」として定義する。
●物事を一つ上の視点から見てみる。「自分の魂を幽体離脱させて『上空から』自分自身を見てみる、あるいは外側から眺めてみるという状態を意味しています」。
●自分の頭で考える。「自らの経験というのは良くも悪くも具体的なものがほとんどですが、それを相対化し、抽象化するという考える行為によってメタレベルに上がることができるようになります」。